民泊を始めたいと考えているのですが、確定申告の際に関係してくる税金にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、税務に関する注意点があれば教えてください。
【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
国税庁が、給与所得者の民泊の所得金額は不動産所得ではなく雑所得という見解を示しました。
そこで今回は、民泊による所得をどのように扱うべきなのかについて解説します。
目次
民泊とは?
ホスト(宿泊施設の提供者)が住宅の全部又は一部を主に外国人観光客のゲスト(宿泊者)に貸し、宿泊料を得る営業のことを指します。
民泊の種類
民泊には4種類あり、それぞれに特徴があります。
(1)簡易宿所
旅館業法上の許可を得た宿泊施設です。
(2)特区民泊
各自治体の条例で定められた宿泊施設であり、地域は限定されています。旅館業法の許可は必要なく、ホストとゲストが賃貸借契約を結びます。
(3)違法民泊
(1)と(2)に該当しない無届の宿泊施設です。
(4)新法による民泊
2018年6月15日から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく宿泊施設です。
年間の営業日数が180日以内、不動産会社など苦情処理や清掃を実施する住宅宿泊管理業者の設置が義務付けられていることが特徴です。
民泊の税務
次のような税金が関係します。
(1)所得税・住民税
民泊での所得金額は、雑所得(※注)として所得税と住民税が課税されます。
国税庁は、ゲストがチェックインする前に宿泊施設の清掃などが義務付けられているため、民泊はサービス業であることを明確にしました。
たとえ特区民泊のように、賃貸借契約でも不動産所得ではありません。
(※注)すでに所有している賃貸用物件を民泊として利用した場合は不動産所得とする、あるいは、その事業規模により事業所得として申告する、など判断が分かれるところであります。
また、民泊の特殊な取り扱いについては次の通りとなります。
①年収2000万円以下の給与所得者
・民泊や他の副業を合計した所得金額が20万円以下の場合:確定申告は不要、住民税の申告は必要
・所得金額がマイナスの場合:確定申告・住民税の申告はともに不要
②宿泊施設が破損した場合
被害額は必要経費に算入できますが、仲介業者から補償される金額を差し引きます。
たとえ補償額が確定していなくても、見積もり金額を計上する必要があります。
③違法民泊でも課税される
(2)固定資産税・都市計画税
次の住宅用地の課税標準額の特例は、形式上住宅である違法民泊も含めて適用されません。
①一戸200㎡までの小規模住宅用地
・固定資産税:通常の6分の1
・都市計画税:通常の3分の1
②一般住宅用地
・固定資産税:通常の3分の1
・都市計画税:通常の3分の2
(3)消費税
民泊の宿泊料は課税売上、雇用契約に基づく給与を除いた経費は課税仕入です。
(4)宿泊税
東京都と大阪府で課税しており、京都市でも2018年10月1日から導入されます。
①税額