大阪地裁平成29年3月15日判決です。

賃貸用不動産を贈与により取得した際に納付した贈与税を不動産所得の必要経費に算入したところ、否認された事案です。

納税者としては、所得税基本通達37-5が、「業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所税、自動車取得税等は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。」

とされていることから、贈与税も算入できるはずである、という主張をしました。

しかし、納税者敗訴です。

裁判所は、次のように判示しました。

●不動産所得を生ずべき賃貸業務の用に供される不動産を贈与により取得した場合には、当該贈与につき贈与税の納税義務が生ずることとなる。

●しかし、贈与税は、財産の価額に相当する経済的価値を課税対象とするものであって、個々の贈与財産を課税対象とするものではないから、上記不動産の贈与に係る贈与税は、上記賃貸業務における具体的な不動産の取得と関連性を有するものということはできない。

●また、贈与税は、贈与を課税原因とするものであって、賃貸業務を課税原因とするものではないから、上記不動産の贈与に係る贈与税が、上記賃貸業務との関連性を有するということもできない。

結論としては、そうだろうな、というところだと思います。

所得税確定申告が忙しくなってきたと思いますが、必要経費に算入できる税とできない税は、よく通達を確認しておく必要がありますね。

なお、所得税の税務調査において、調査官が、「この経費は事業と直接関係しないですよね」と言ってくることがあると思います。

経費と事業との「直接の関係」を要求してくるケースです。

しかし、東京高裁平成24年9月19日判決

(判例時報2170号20頁)の弁護士会役員必要経費事件では、「直接関係性」を否定し、「所得税法施行令96条1号が、家事関連費のうち必要経費に算入することができるものについて、経費の主たる部分が「事業所得を…生ずべき業務の遂行上必要」であることを要すると規定している上、ある支出が業務の遂行上必要なものであれば、その業務と関連するものでもあるというべきである。

それにもかかわらず、これに加えて、事業の業務と直接関係を持つことを求めると解釈する根拠は見当たらず」

と判示していますので、あわせてチェックですね。

今回は、以上です。

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