節税対策で会社の固定資産を経費にする場合、その使用について税務調査で問題となるポイントがあれば教えてください。
【この記事の監修者】税理士法人桜頼パートナーズ会計 小髙事務所 小髙 正之
前回は、節税対策で固定資産を経費にする際の注意点として、その資産を使用した日がポイントになることを解説しました。
そこで今回は、そもそも「使用」とはどのような状態をいうのかについて解説します。
【固定資産の使用の定義は“使用可能”な状態であること】
税法上、固定資産を使用した日の「使用」という定義は明確です。
ある製造業の企業の税務調査では、その部分が争点になりました。
この企業は、あるスキー場の近くに従業員の福利厚生のための別荘を保有しています。
通常は、冬だけしか使用しません。
そこに税務調査官が目をつけて、間接的に別荘の状況を聞いてきました。
最初は冬の使用状況から訊ねて、次第に夏の時期の使用について話を展開させていきました。
すると、経営者は正直に答えました。
「スキーシーズンしか使用していません」
固定資産は、使用した日を基準に経費に落とせるということから考えれば、未使用日には否認されることを意味します。
調査官は、そこを突いてきたのです。
ところが、経営者の次の一言で別荘が経費に認められました。
「別荘は、いつでも使用できる状態です」
これで調査官は黙って、別の項目を調べ始めました。
ここで重要なことは、税法上、使用した日の「使用」とは、実際に使ったかどうかではなく、いつでも使用可能な状態を意味するということです。
ちなみに、