契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

社長と社外取締役が絡んだインサイダー取引による不正事例



不正取引において、上場企業の社長が関与した事例があれば教えてください。


【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
http://www.eguro-cpa.com/

不正取引事例では、会社の売上・利益を増やす目的や、従業員が私腹を肥やすための不正が目立ちます。

社長ともなると、会社全体のことを考えて不正取引に手を染めてしまうことはあっても、私腹を肥やすことは少ないようです。

しかし、今回ご紹介する事例は、なんと上場企業の社長自らがインサイダー取引に関与した事例です。

主たる登場人物

このインサイダー取引事例の主たる登場人物は、当該上場企業(以下、当社とします)の社長A氏と、社外取締役B氏の2名となります。

以前、この2人は同じ会社に勤務しており、社長A氏が部下で社外取締役B氏が上司という関係でした。

その後、2人は別々の会社で働くことになります。
そして、A氏が当社社長に就任後、B氏にさまざまな経営相談をする関係になりました。

なお、平成27年6月の定時株主総会でB氏は当社の社外取締役に就任しています。

違反行為の内容

当社は、平成26年9月29日の午後3時に大型業務提携のリリースを出しています。

それ以前の平成26年7月14日から平成26年9月29日の午後2時29分までの間に、B氏は当該会社の株式1万6700株を939万2300万円で買い付けています。
なお、この時点ではB氏は当社の社外取締役には就任していません。

なぜ、B氏は平成26年9月29日に大型の業務提携リリースが出る前に939万円もの資金で1万6700株もの株式を購入したのでしょうか?

それは、B氏が当社の株価が確実に上がるというインサイダー情報を得ていたからです。

上述したように、A氏はB氏に経営の相談をしており、平成26年7月からB氏はA氏より当社が締結を考えている大型提携の相談を受けていました。

純粋に相談だけであればよかったものの、途中から「当社株式に関して今後値上がりが見込まれるか」という話題が多くなりました。
そして、A氏はB氏に利益を得させる目的で、当社の大型提携という重要事実が公表される前に当社株式をB氏に買い付けさせたのです。

通常であれば、上場企業の社長としてインサイダー情報を漏洩させることはあり得ないのですが、社長A氏は「B氏は、以前に(他の)上場会社役員を務めており、上場会社役員として有すべき法令についての知識及び遵法精神を十分に備えており、インサイダー取引規制違反を犯すような人物ではないと信用していた」と供述しています。
脇が甘かった、といわざるを得ないでしょう。

B氏は金銭的に困窮していたことはなく、数十年前から株式投資を趣味として行なっていました。
他の銘柄を含め株式の売買を繰り返すうち、次第に規範意識が鈍麻した結果、「これくらいの取引であれば、バレないだろう」という安易な気持ちからインサイダー取引規制違反を犯した、ということです。

なお、

PREVNEXT

関連記事

小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)が適用できないケースとは

小規模宅地等の特例は、相続開始の直前における宅地等の利用状況によって適用要件や減額割合が異なります。 『特定居住用宅地等』は自宅の敷地に対する制度...

年間の法人税の税務調査件数と申告漏れの指摘割合について

会社経営で避けて通れないのが、税務署の税務調査です。 平成30事務年度の法人税の実地調査による追徴税額は1,943億円と、調査...

じつは怖い存在…労働基準監督官の仕事と権限とは?

労働基準監督署の調査・指導を無視し続け、法律違反と虚偽説明を繰り返していた会社の社長ら2名が逮捕されたようです。 社長、あなたの会社は大丈...