従業員のモチベーションを高めるため、インセンティブ制度の導入を検討しています。
具体的な内容を社内で議論していく中で、「インセンティブと賞与はどう違うのか? 同じではないのか?」という話が出ました。
実際のところ違いはあるのでしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
「賞与」とは、行政通達で「定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないもの」と定義されています。
通達のとおり、確かに多くの企業では夏・冬の年2回(定期に)、人事評価(労働者の勤務成績)の結果として賞与が支給されており、あらかじめ「○○万円支給する」とは決められていません。
つまり、金額は確定されていないということです。
一方、「インセンティブ」とは、従業員のモチベーションを向上させるための施策であり、ストックオプションや表彰制度の他、毎月の目標達成度合いに応じた歩合給(あるいは業績給、達成手当ともいわれる)など、さまざまな形があります。
もし、ある企業が歩合給のような制度を導入した場合、前述の賞与に関する行政通達に沿ったものであるから、歩合給(インセンティブ)も賞与であるという解釈ができなくはないでしょう。
ただ、社会保険において賞与とは「3か月を超える期間ごとに受けるもの」とされており、インセンティブはその規定内容によっては賞与ではないと判断されます。
厚生労働省の「疑義照会回答」というものに具体例が掲載されているので、以下に要約した内容を紹介します。
質問内容
「毎月、目標達成度合いに応じて、会社が規定した比率に乗じた金額をコミッションとして支給する内容を賃金規程で定めている」
「査定は毎月で、毎月支給される社員もいる」
「1回に200~300万円程度の高額支給である」
「規程にはコミッションの支給回数について明記はされていない」
回答内容
「賃金規程に、コミッションが3か月を超える期間ごとに受けるものとされていないため、賞与には該当しない」
「支給事由や支給条件が採用通知および条件提示書(※労働条件通知書のことと思われる)において明示されており、臨時に受けるものとも解されない」
以上から、