会社を運営する上で、絶対に欠かせないのが事業運転資金の確保です。
経営が軌道に乗っていれば、金融機関からお金を借りやすいですが、創業時は売上実績がありませんので資金調達に苦労します。
本記事では、会社を立ち上げた間もない時期でも融資を受けられる創業融資制度の概要と、種類ごとのメリット・デメリットについて解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
創業融資とは
創業融資とは、事業を立ち上げた時期に融資する制度をいい、お金を借りる点は一般的な融資と同じです。
事業を開始する際、設備や仕入れ、人件費などの開業資金が必要となりますが、創業時は売上がありませんので、金融機関から融資を受けることが大きなハードルとなります。
創業融資は開業前後でもお金を借りられる制度として存在し、創業融資の種類には「新創業融資制度」と「制度融資」の2種類あります。
新創業融資制度とは
「新創業融資制度」は、日本政策金融公庫が行っている融資制度です。
日本政策金融公庫(通称:日本公庫)とは、一般の金融機関が行う金融の補完をしつつ、国の中小企業・小規模事業者政策などに基づき、金融機能を発揮する政策金融機関です。
新創業融資制度の概要
新創業融資制度は、新しく事業を開始する方や、事業を開始したばかりの方を対象とした制度で、無担保・無保証人で利用できるのが特徴です。
融資を受けたお金は新規事業の設備費用に充てたり、運転資金として使用したりすることができ、次の要件を満たした方が利用対象者となります。
<新創業融資制度の適用要件>
● 新規事業者または、事業開始後税務申告を2期終えていない事業者
● 創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認出来る事業者
新創業融資制度のメリット
金融機関から融資を受ける場合、担保提供や保証人が必要になるケースがほとんどであり、創業時点で担保提供できる資産が無ければ、お金を借りるのは難しいです。
その点、新創業融資制度は無担保提供・無保証人でも融資が受けられるため、創業時の資金調達先として有力な選択肢となります。
金利は担保提供の有無や保証人の有無によって変動しますが、担保提供等が無くてもノンバンクよりも低金利で借りることができます。
また融資金額は最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)と、多額の開業資金が必要になる事業であっても資金を賄えるのも利点です。
審査機関については、申請から審査が通るまで1か月程度と短く、事業を開始するタイミングで利用しやすい仕組みになっています。
新創業融資制度のデメリット
新創業融資制度は、もう一つの創業融資制度である「制度融資」と比較すると、金利は比較的高めに設定されています。
また無担保・無保証人で融資を受ける際の金利は、0.96%~2.85%(令和3年12月1日時点)と、担保提供がある場合よりも1%程度金利は上がりますので、担保があった方が低金利で借りられます。
ただ同条件であれば、創業融資以外の方法でお金を借りるよりも金利は低いため、担保の有無に関わらず、創業時の有力な資金調達先です。
制度融資とは
制度融資とは、お金を借りることが難しい地元の中小企業が金融機関から融資を受けやすくするために、都道府県や市町村が金融機関等と連携して行っている融資制度です。
制度融資の概要
制度融資は自治体ごとに行っている制度なので、融資金額や条件などは都道府県や市町村ごとに異なります。