中小企業が運転資金不足の状態になった場合、社長からお金を借りることも選択肢の一つです。
「社長借入金」は、金融機関から融資を受けるより手軽にお金を借りることができる手段ですが、実務上と税務上で注意すべきポイントも存在します。
本記事では社長借入金の取扱いと、借り入れた際の影響について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
社長借入金とは
社長借入金は、会社が社長個人からお金を借りることをいい、会社設立時の開業資金や、会社の資本金が足りない場合に用いられることが多いです。
社長借入金を利用するメリット
社長から借り入れるメリットは3つあります。
● 借入の手軽さ
● 返済期間を自由に設定できる
● 金利を任意で決められる
● 借入の手軽さ
● 返済期間を自由に設定できる
● 金利を任意で決められる
社長が創業者であれば、会社を維持することが最優先事項であり、貸し借りの審査等もありませんので、急遽運転資金が必要となった際に活用できます。
返済期間は通常、当事者間の同意により設定しますが、社長と会社の間柄なので実質的に返済期間を自由に設定することが可能です。
また金利についても当事者間が合意した利率に設定できるため、金融機関で融資を受けるより支払利息を抑えられる利点もあります。
社長借入金を利用するデメリット
会社の代表者である社長からの借り入れであったとしても、他者からお金を借りていることには変わりないので、借り入れが多くなれば会社の自己資本比率は低下します。
自己資本比率が低くなると金融機関からの評価が下がりますし、借入金が多ければ融資を申請しても返済リスクの観点から審査が通らない可能性もあります。
また社長との金銭貸借契約書で設定された金利が高いと、利益相反取引に該当することもあるのでご注意ください。
利益相反取引とは取締役が自己または第3者の利益を図るために、会社の利益を犠牲にする取引をいい、社長からの不必要に借入を行っている場合や、設定された金利が金融機関等と比較して高いと利益相反取引の疑いが出てきます。
ただ社長からの借り入れが低金利で行われれば会社が支払う利息は少ないので、利益相反取引には該当しません。
税務上における社長借入金の取扱い
社長借入金は会社だけでなく、お金を貸した社長にも税務上の影響を及ぼしますので、相続税・贈与税・法人税で注意すべきポイントをご紹介します。