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税務調査で社長貸付を指摘されるケースと否認されないための対策

同族会社や自身が設立した会社からお金を借りることは容易ですが、社長貸付は税務調査で指摘されやすい項目ですのでご注意ください。

社長貸付を否認されれば、会社と社長の双方で追徴課税を支払うことになるため、本記事で社長貸付が指摘されるケースと、税務調査を回避するためのポイントを解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

実務における社長貸付のリスク

会社が他社・他人へお金を貸す場合、貸付内容が適切であれば問題にはなりません。

しかし貸付先が社長や役員など会社と近い関係者であれば、返済期限を設定しない場合や貸したお金が返済されないことも懸念されます。

会社への返済が滞れば会社の財務状況が悪化しますし、社長等への貸付が多いと金融機関からの評価が低くなる可能性もあります。

また会社がお金を貸した際は、貸した金額に対する利息は利息収入として計上する必要があり、計上漏れは税務調査で指摘されるポイントです。

社長貸付する際の利率と無利息で行った場合の税務上の取り扱い

会社が役員や使用人へ金銭貸付を行う場合、次に掲げる利率で計算した利息相当額を収入として計上しなければなりません。

● 会社が金融機関等から借り入れて貸し付けた場合・・・その借入金の利率

● 上記以外の場合・・・貸付けを行った日の属する年に応じた利率
(令和3年の貸付利率は1.0%)

貸付が無利息または低利息で行われた際、上記の利息と実際の利息との差額が給与課税されますので、社長が会社から無利息で借りると収入利息に対する法人税および、給与所得に対する所得税の課税関係が生じます。

ただし社長や役員、従業員へ無利息または低い利息で貸し付けを行っていた場合でも、次のいずれかに該当する場合は、給与課税をしなくてもよいことになっています。

● 役員または従業員が災害や病気などにより臨時に多額の生活資金が必要となった際に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合

● 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員または従業員に対して金銭を貸し付ける場合

● 上記の貸付金以外のケースにおいて発生する、所得税の課税対象となる利息の額が1年間で5,000円以下である場合

社長への貸付金が役員報酬と認定されるリスク

社長貸付の金額・返済期間・利息が適切であれば、税務調査で指摘されることはありませんが、役員報酬としての支払いを避けるために行っている社長貸付については、役員報酬として認定される可能性があります。

税務調査で役員報酬認定された金額は法人の損金として計上できませんし、役員報酬は社長の給与所得として取り扱われ、社長貸付を否認されれば2種類の税金に対する追徴課税を支払うことになります。

社長貸付の金額が多くなるケースとしては、社長の生活費が足りなくなった都度会社のお金を流用する場合や、経費計上できない支出を日常的に貸付金計上している場合などがあります。

税務署は立場を利用しての金銭貸借の有無を税務調査で必ず確認してきますので、社長貸付は慎重に行わなければいけません。

税務調査で社長貸付を否認されないためにやるべき3つの対策

社長貸付は次の3つの対策を行うことにより、税務調査で否認されるリスクを軽減できます。

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