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競馬の払戻金に対する課税の判例と国税当局の対応方針

競馬の馬券の払戻金は、最高裁の判決等があった関係で、条件を満たせば外れ馬券も経費として計上することが可能です。

本記事では、競馬の払戻金に対する国税当局の対応を、判例を交えて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

競馬の馬券の払戻金の所得区分

競馬の払戻金に対する課税の取扱いには、原則と例外があります。

原則は一時所得の対象

競馬の払戻金は、原則として一時所得の対象です。

一時所得(所得税法第34条)は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得および譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務その他の役務または資産の譲渡の対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

所得税基本通達34-1では一時所得の例示がされており、懸賞の賞金品、福引の当選金品等だけでなく、競馬の払戻金や競輪の車券の払戻金等も一時所得に該当することが示されています。

一時所得は、その所得を得るために直接必要だった支出しか経費として認められませんので、的中した馬券以外の馬券の購入金額を経費として計上することはできません。

したがって、競馬の収支がマイナスであったとしても、税金の計算上は利益が算出されることも想定されます。

例外的に雑所得の課税対象となるケース

競馬の払戻金は原則一時所得の対象ですが、下記のケースに該当する場合には、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として、雑所得の課税対象となります。

【雑所得に該当する競馬の払戻金】
〇年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、多額の利益を上げていること

〇回収率が馬券の購入行為の期間総体として、100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかであること

〇次のいずれかの手段で馬券を購入している
● 馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して、定めた独自の条件設定と計算式に基づき購入
● 予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入

雑所得に該当する競馬の払戻金については、的中馬券以外の購入金額も経費として認められるため、競馬で得た利益に対して課税が生じます。

競馬の馬券の払戻金に関する主な判例

競馬の馬券の払戻金に関する税金の取扱いは、最高裁平成29年12月15日判決および、東京高裁平成28年9月29日判決による影響が大きいです。

最高裁平成29年12月15日判決の概要

裁判では、外れ馬券の経費計上が認められるかが焦点でした。

最高裁は、被上告人(納税者側)が次の状況下で馬券購入していたことは、馬券の購入行動が継続的に行われており、客観的にみて営利を目的とするものであったということができると判断し、外れ馬券も経費計上できるとの判決を下しています。

<営利目的による馬券購入と認められた行動>
● 予想の確度の高低と、予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って馬券を購入
● 偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入することを目標としていた
● 年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら、6年間で多数の馬券を購入し続けていた
● 回収率が総体として100%を超えるように馬券を選別し、購入し続けていた
● 6年間のうち、少ない年で約1,800万円、多い年で約2億円の利益を得ており、いずれの年も年間を通じての収支で利益が発生していた
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