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カスハラを受けた社員は労災の対象となるのか

当社は接客業ですが、先日社員の一人(女性)がお客様よりクレームを受け、心身の不調を訴えて会社を休むようになりました。

不調の原因は当社の社員によるハラスメントではなく、長時間労働によるものでもありませんが、この場合でも労災の認定を受けることは可能なのでしょうか。


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

顧客等から受ける不当な要求、暴言等をカスタマーハラスメント(カスハラ)といい、貴社のケースもカスハラに該当する可能性があります。

カスハラにより心理的ダメージを受け、精神障害を発症した場合、労災の認定を受けることができるかという点については、2023年9月1日の行政通達「心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正概要」が参考になります。

この通達によれば「近年の社会情勢の変化や労災請求件数の増加等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて」認定基準の改正が行われたとされています。

改正のポイントに「業務による心理的負荷評価表の見直し」があり、その中で次のとおりカスハラに関する事項が新たに追加されました。

※「業務による心理的負荷評価表」とは、実際に発生した業務による出来事を、この評価表に示されている「具体的出来事」に当てはめ、負荷(ストレス)がどの程度かかっているか、その強さを評価するもの

・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加

このように、貴社の社員の方も申請を行い、心理的負荷が強かったと認められれば労災認定される可能性はあります。

ただし、そのハードルはかなり高いものと思われます。

大阪の「551蓬莱」(豚まんで有名です)で電話受付業務を担当していた20代の男性が、顧客から「死ね」「回りくどい説明しやがって、ボケ」「お前なんか向いてないわ、その仕事」等の暴言を受けていました。

また、オンライン注文で配送指定日に誤りがあったとしてクレームがありましたが、これは顧客側のミスによるものでした。

男性はその旨を説明しても「天下の551なんだから何とかしてくれ」と指定日を変更する等の理不尽な要求を受けたりもしていました。

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