法人税の過大申告が発覚した場合、更正の請求書を提出することで納め過ぎていた法人税の還付を受けることができます。
更正の請求には期限があるため、期間内に手続きしなければならず、税務署は無条件で請求内容を認めることはしないので、提出する際の準備は不可欠です。
本記事では、法人税の更正の請求期間および、請求書を提出する際の注意点について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
更正の請求と修正申告の違い
申告内容に誤りが判明した場合、更正の請求書または修正申告書を税務署に提出することになりますが、申告内容を正した際の状況によって提出すべき書類は異なります。
更正の請求とは
更正の請求は、納税者が申告した税額が過大であることを知った場合において、納税者が税務署に対し、減額更正を求める行為です。
「更正」とは、税務署が申告内容を変更することをいい、税務署が税額を増やす場合は「増額更正」、税額を減らす場合は「減額更正」が行われます。
還付金が過少となっていた還付申告の内容を正す場合も更正の請求の対象となりますが、税務署は更正することが相当であると判断した場合に限り、納め過ぎていた税金を還付します。
したがって、更正の請求書を提出したとしても、内容が不十分であれば否認されるので注意してください。
修正申告とは
修正申告は、申告内容を修正したことで税額が増える場合に行う手続きです。
更正の請求とは違い、修正申告は申告書を提出した時点で税額が増えることが確定することから、申告と同時に納税を要します。
納税が遅れると延滞税の対象となりますので、修正申告書を提出する際は納税資金を確保してください。
法人税の更正の請求書を提出できる期間
更正の請求期間が経過すると、申告内容に誤りがあったとしても正すことができず、納め過ぎていた税金は戻ってきません。
更正の請求期間は原則5年
更正の請求期間は原則5年なので、5年を経過してしまうと税金の還付は受けられません。
しかし、税金の種類等によっては請求期間が5年を超えるものもあり、たとえば贈与税は6年、移転価格税制に係る法人税等は7年です。
青色申告を行っている法人は欠損金を最長10年繰り越すことが可能ですが、法人税に係る純損失等の金額に対する更正の請求期間は10年です。
請求期間は、基本的に法定申告期限からカウントします。
ただし、更正の除斥期間が終了する間際に行われた更正の請求に係る更正は、更正の請求があった日から6か月間行うことができます。
更正の請求期間の特例
更正の請求書は原則法定申告期限から5年以内に提出しなければなりませんが、後発的事由に基づく更正の請求であれば、5年を超えたとしても更正の請求書を提出することが可能です。
後発的事由に基づく更正の請求期間は、事由が生じた日の翌日から2か月です。
後発的事由に該当するケースとしては、課税標準等の計算の基礎となった事実に関する訴えについて、判決等で事実が異なることが確定したときなどが挙げられます。
また、国税通則法や各税目に対応する法律では、特例規定が設けられているものもあるため、法定申告期限から5年を超えているときは特例規定の有無も確認してください。