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不動産相続に伴う税金の種類と負担。申告・納税のポイントを解説

不動産を相続する際には、相続税以外にも課される税金がありますし、所有しているだけでも不動産の価値に応じて固定資産税が課されます。

本記事では、不動産相続時に発生する税金の種類と、それぞれの特徴について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

不動産相続時に発生する税金の種類と特徴

不動産を相続する際に発生する税金には、相続税と登録免許税があります。

相続税は、被相続人(亡くなった人)の財産に対して課される税金で、遺産総額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告・納税が必要です。

登録免許税は、不動産の登記をする際に課される税金です。
相続で不動産を取得した場合、法務局で名義変更手続きを行うことになりますが、相続登記のタイミングで登録免許税を納めることになります。

なお、売買や贈与によって不動産を取得した際に課される不動産取得税は、相続取得の場合には原則非課税です。

相続税の仕組みと基礎控除額の計算方法

相続が発生した場合、被相続人の遺産総額が相続税の基礎控除額を超えるかどうかを確認してください。

<相続税の基礎控除額の計算式>
3,000万円+600万円×法定相続人の数=相続税の基礎控除額

相続税の基礎控除額は、遺産全体に適用される控除です。

遺産総額が基礎控除額以内であれば、相続人がどのように財産を分割しても相続税は発生しません。

相続税の納税義務が発生する場合には、相続人が協力して1つの申告書を作成し、相続発生日の翌日から10か月以内に申告および納税手続きを行う必要があります。

相続税の申告書は税額計算だけでなく、相続財産の相続税評価額の算出も必要となるため、他の税金に比べて申告手続きの難易度は高いです。

「国税庁実績評価書」によると、令和5年度の相続税の税理士関与割合は86.3%とされていますので、相続税が発生する見込みがある場合は、税理士に相談することが推奨されます。

相続登記時の登録免許税の計算方法

登録免許税は、不動産の登記手続き時にかかる税金で、相続登記申請を行う際に納めることになります。
相続によって不動産を取得した際の登録免許税の税額は、以下の算式で求めます。

<登録免許税の計算式>
不動産の価額×0.4%=登録免許税

「不動産の価額」は、原則市区町村が算定している固定資産税評価額を用います。
固定資産課税台帳に登録された価格がないときは、登記官が認定した価額が相続登記における不動産の価額となります。

登記申請は不動産の所在地を管轄する法務局に対して行うことになるため、不動産が遠方にある場合は注意が必要です。

相続時に不動産取得税が課税されるケース

不動産取得税は相続による不動産取得の場合には課税されませんが、相続人以外の人が特定遺贈により不動産を取得した場合には、課税対象となります。

たとえば、被相続人が相続人ではない孫に不動産を特定遺贈した場合、孫は不動産取得税を納める義務が生じます。

<不動産取得税の計算式>
取得した不動産の価格(課税標準)×税率=不動産取得税

  • ・取得した不動産の価格:固定資産評価額
  • ・税率
  • 土地:3%
  • 家屋(住宅):3%
  • 家屋(住宅以外):4%

相続財産を取得することができるのは、法定相続人に限られるため、原則法定相続人以外が遺産を相続することはできません。

しかし、被相続人は遺言によって財産を渡す人を指定することができるため、被相続人が不動産を相続人以外の人に財産を遺贈する内容の遺言書を作成することで、相続人以外の人が不動産を引き継ぐことも可能です。

不動産取得税は都道府県税であり、登記を行って概ね4か月から半年後に都道府県税事務所から不動産取得税の納税通知書が送付されます。

ただし、次に該当する不動産に対しては、不動産取得税は課税されません。

  • ・10万円未満の土地
  • ・23万円未満の家屋(新築・増築・改築)
  • ・12万円未満の家屋(その他売買等)
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