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自己都合で退職する従業員を失業保険の給付で有利になるように解雇扱いにしても問題はないのか?

自己都合で退職する従業員から、失業保険がすぐにもらえるように解雇扱いにしてほしいと頼まれました。どうしたらいいでしょうか?
リスクがあるとすれば、どのような問題が考えられますか?

どんなに頼まれたとしても、解雇ではないのに解雇という形にして、不正受給に手を貸してはいけません。
会社都合退職は、従業員にもデメリットがあることを説明しましょう。

解説

失業保険とは?

失業保険というのは、世間一般で広く使われている言葉ですが、今現在、公的には存在しません。
失業した時にもらえるのは、雇用保険の中の 求職者給付の基本手当 なるものです。

かつては失業保険という制度があり、その名の通り、失業給付を行っていました。
実は、1947年に産声をあげたその失業保険法に代わり、1974年に装いも新たに制定されたのが、雇用保険法です。

雇用保険では、失業時の対策のみならず、失業を予防したり、雇用を増やしたり、労働者の能力を高めることなども目的としています。財源は、雇用保険料(事業主と労働者の折半)と国庫負担です。

失業とは、働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態のことをいいます。
ですから、結婚や出産、定年などによる理由で退職し、働くつもりがない場合は、単なる離職者で、失業者ではありません。

なお、ここではわかりやすさを第一に 失業保険 という言葉を用います。

退職理由による失業保険の違い

自己都合で退職した場合、原則として3ヵ月間は、失業保険が支給されません。
これは、さしたる理由もないのに、失業保険をあてにして安易に会社を辞めることを抑制するためです。

しかるに、解雇など会社都合で退職した場合は、求職の申込をしてから最初の7日間は待機期間となりますが、その後すぐにもらえます。
再就職を準備する時間的余裕がなく、離職を余儀なくされた人には、いち早く生活の保障がなされるのです。

また、退職金制度がある場合、自己都合退職だと減額されるのが大半です。
一方、会社都合退職の場合、満額ないしは上乗せでの支給となります。また、失業保険をもらえる日数が違います。

【表】失業保険をもらえる日数
※黄色は、一般の離職者より手厚い日数

雇用保険の被保険者であった期間
被保険者の区分1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
一般の
離職者
全年齢90日120日150日
解雇や倒産等特定の理由による離職者30歳未満90日90日120日180日
30歳以上
35歳未満
180日210日240日
35歳以上
45歳未満
240日270日
45歳以上
60歳未満
180日240日270日330日
60歳以上
65歳未満
150日180日210日240日
障害者等の
就職困難者
45歳未満150日300日
45歳以上
65歳未満
360日

不正行為の片棒は担がない

従業員の再就職が決まるまでの間、生活が大変だろうと、温情をかけてはいけません。
事実と異なる離職理由で失業保険を受給すれば、不正行為です。

不正受給が発覚すれば、本人は、失業保険全額を返還させられると共に、受給額の最大2倍の納付を命じられ、受給額の3倍となる額を返還しなければならないことがあります。
俗にいう 失業保険の3倍返し です。

不正受給は、従業員本人の責任を問われるだけではありません。その不正受給の手助けをした会社も、違法行為を行った処分の対象となります。

トラブルの温床を防ぐ

再就職がうまくいかず、背に腹は代えられないとばかりに、退職を強要されたなどと難癖をつけ、労基署に駆け込んだり、裁判に打って出る従業員もいます。

滅多にないことではありますが、万全を期しましょう。
退職届は必ず書面でもらい、「自己都合退職ですね」と確認をしておきます。

会社都合退職にした場合の会社のデメリット

退職金制度がある場合、退職金の額がかさみます。さらに、解雇者を出すと、助成金が一定期間もらえなくなります。

現在、助成金を受けていないから構わないと思っていても、

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居住用財産の買換え特例の適用要件および引き継ぐ取得価額の計算方法

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