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自分の息子なのに、自宅に連れ帰っただけで逮捕される……そんなことがあるのでしょうか?
法律的に解説していきます。
事件はこうして起きた
「親権ない実子連れ去った父親!罪になるとは…“」(2015年6月9日 読売新聞)
親権のない実子である生後11ヵ月の長男を内縁の妻(25)の自宅から乗用車に乗せて連れ去ったとして、静岡県御殿場市に住む男(31)が未成年者略取の疑いで緊急逮捕された。
「自宅に連れ去ったが罪になるとは思わなかった」と容疑者の男は供述。
長男にケガはなかった。
リーガルアイ
条文から見ていきます。
「刑法」
第224条(未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
略取とは、力ずくで奪い取ることですが、法的には暴力や脅迫、その他の強制的な手段で相手をこれまでの生活環境から離脱させ、第三者の支配下に置くこと、となります。
誘拐とは、偽計や誘惑を手段とするなどして人に誤った判断をさせて上記の行為を行うことです。
未成年者略取罪は目的や動機を問いません。
そのため、成年の場合とは異なり営利目的でなくても成立します。
営利目的の場合は、第225条が適用されます。
第225条(営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
「かわいかったから」、「ただ一緒にいたかっただけ」という理由での子供の連れ去り事件がありますが、そうした身代金目的ではない場合でもこの罪は成立します。