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選挙に関する法律に「公職選挙法」があります。
公職選挙法は、1950年に衆議院議員選挙法と参議院議員選挙法、そして地方自治法の選挙に関する条文を統合して制定されました。
内容は、国会議員や地方公共団体の議会の議員・首長など公職に関する定数や選挙方法などについて規定しています。
今回は、公職選挙法の買収罪について解説します。
事件はこうして起きた
「村議が日本酒配る 公選法違反容疑で書類送検」(2015年8月11日 産経新聞)
2015年4月の統一地方選で当選した新潟県弥彦村の村議(82)が、有権者に日本酒を配ったとして、公選法違反(買収)容疑で新潟県警に書類送検された。
同県警の発表によると、村議は2015年3~4月頃、投票を呼び掛けるために複数の有権者に一升瓶の日本酒を20本以上配った疑い。
村議は現在7期目。
2015年4月の村議選(定数10)に無所属で出馬し、321票で最下位当選した。
選挙活動の中で日本酒を配ったことを認めたうえで、村議は「進退については捜査の結果が出てから考えたい」と話しているという。
「尾花沢市前議長逮捕、買収などの疑い 県警と尾花沢署」(2015年8月13日 山形新聞)
山形県警捜査2課と尾花沢署は、2015年7月12日に投開票された尾花沢市議選で当選した同市議会前議長(70)を、公選法違反(買収、事前運動)の疑いで逮捕した。
事件が起きたのは、告示日前の2015年6月頃。
同市内で投票や票の取りまとめなどの選挙運動に対する報酬として、市議は有権者数人に現金計十数万円を渡し、現金以外にもギフトセットなどの物品を多数の有権者に対して配っていたという。
また、同県警は受け取った側についても公選法違反(被買収)容疑で、任意で事情を聴いている。
リーガルアイ
【公職選挙法の買収罪とは?】
1.公職選挙法の買収罪とは、選挙運動期間中かどうかに関係なく、選挙で当選することを目的に有権者や選挙運動員に対して金品を渡したりする行為をしたときに適用されます。
第221条(買収及び利害誘導罪)
1.次の各号に掲げる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。
三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。
四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2.お金以外にも以下のようなものが対象となります。