当社は、月30時間分の時間外労働が含まれた固定残業代制度を採用していますが、この制度の適用について最近では厳しい見方をされていると聞きました。一体どういうことなのでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
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固定残業代(あるいは定額残業代)制度とは、例えば1ヵ月間の時間外労働30時間分を「固定残業手当」(※名称はどのようなものでも構いません)という定額の手当で支給するもので、ある月の一賃金支払期における時間外労働が0時間であっても支給されます。
また、月40時間の時間外労働が行われた場合、上記30時間との差である10時間分の時間外手当を固定残業手当とは別に支給する必要があります。
深夜労働や法定外の休日労働を含めて固定残業手当としている会社も稀に見られるようですが、割増賃金を計算する上での割増率は時間外のほか、深夜、法定外休日労働でもそれぞれ異なるため、この2つについては固定残業手当に含めず、別途計算のうえ支給するべきです。
いずれにせよ、時間外労働等が月何時間行われたのか正確に把握するためには、勤怠集計をきっちり行い算出しなければなりません。
ところが、勤怠集計をしていないどころか、ひどい場合だと出勤簿(タイムカード)さえない会社もあります。
これでは従業員の出勤状況を正確に把握するなどできるはずもなく、当然、毎月の時間外労働等がどの程度行われたのかもわかりません。
このような会社が固定残業代制度を導入していたとしても、最近では適正な導入とは認めてはもらえない方向に向かっていて、裁判例では制度自体が無効との判断がされたりしています。
また、労働基準監督署の見方・指導も厳しくなっているようです。
固定残業代制度を有効とするためには、次のような事を実践しておくことが最低限必要となるでしょう。