会社分割とは、どのような目的で行うのでしょうか? また、そのメリットを教えてください。
【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
http://www.eguro-cpa.com/
事業を複数の会社に分割する手法として、「会社分割」という手法があります。
M&Aにおいては、対象会社の事業を切り離して取得できることがメリットです。
対象会社のすべてを取得する合併とは異なり、事業を切り離せることから、取得側にとっては欲しい事業を取得することができます。
また、自社内に不振事業がある場合は、当該不振事業だけを切り離すことができるというメリットがあります。
【会社分割には吸収分割と新設分割がある】
会社分割の主たる手法としては、①吸収分割と、②新設分割があります。
吸収分割は、下記のイメージです。
吸収分割では、A社が保有している複数の事業のうち、ひとつ(場合によっては全部)を他の会社(上記ではB社)へ承継させる手法です。
最近では、オーディオ事業のオンキョー社が組織内再編で吸収分割を採択しています。
一方、新設分割は下記のイメージです。
設分割では、新たに会社を設立して、その会社に事業を承継してもらいます。
最近では、インターネット広告業のオプト社が持株会社への移行に際して新設合併により組織変更をしています。
関連記事
合併とは?メリット・デメリットを解説
営業譲渡・事業譲渡の手続きとは?
【会社分割と事業譲渡の違いとは?】
会社分割は、事業単位で会社を分けることから、事業譲渡と似ています。
しかし、事業譲渡は現金で必要な事業を取得するのに対し、会社分割は基本的に対価が株式のため、現金を用いずに必要な事業を取得できます。
また、事業譲渡は個別の事業譲渡のため債権・債務の引き継ぎについては、個別での調整が必要です。
一方、会社分割であれば、包括承継のため個別の調整は不要です。
事業譲渡の詳しい解説はこちら⇒
「M&Aにおける事業譲渡のメリットとデメリットとは?」
会社分割と事業譲渡を簡単に比較すると、以下のような違いがあります。