売上の粉飾決算を使った不正会計には、どのような手法があるのでしょうか?
【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
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売上を粉飾する手段としては、「架空売上」や「売上の前倒し計上」などがあります。
「粉飾決算」という言葉で、みなさんがイメージされるのは売上を粉飾することではないでしょうか。
経営者にとっても従業員にとっても、自分の会社や部署の売上が少ないよりは多い方がうれしいでしょう。
また、従業員にとっては営業成績が自分の昇給や昇進、場合によっては降格につながることもあるでしょう。
今回は、そうした営業上のプレッシャーから不正な売上を計上していた事例をご紹介します。
当該会社は学習塾を運営しています。
売上目標を達成するために粉飾に手を染めてしまいました。
その主たる手法には次のものがあげられます。
①生徒が未消化授業を残して退会や転居した際の未消化授業売上を仮装して売上を増加。
②生徒が前日までに事前連絡がなく授業当日に欠席した場合、該当する授業は消化されたものとして売上が計上される「当日欠席」を仮装して見かけ上の売上を増加。
③売上管理システムに不備があり、サービス授業についても講師に指導料を払った場合、有料授業を実施したものとして売上が計上されてしまった。
④当該システムの不備のため、授業料を値引きして契約した場合に、実際の契約額ではなく値引き前の授業料により売上が計上されてしまった。
⑤映像講座について、契約書の日付を遡らせて売上計上をした。
⑥保護者との間で契約内容がまとまった場合、契約書を交わす前に署名押印のない仮契約書で売上を計上した。
⑦契約成立の見込みがない場合でも、契約書を勝手に作成して売上を計上した。
このように、非常に多様な粉飾手段が用いられていました。