LINEの乗っ取りに関する動画解説
2014年は、無料通信アプリのLINE(ライン)がきっかけとなったストーカーなどのつきまとい行為や淫行、児童買春、児童ポルノ、恐喝などの犯罪や事件が多発しました。
それ以前は、未成年者が被害者になるものが多かったのですが、2014年5月以降、LINEのアカウント(IDとパスワード)が不正に乗っ取られる事件が問題となったのは記憶に新しいところです。
そこで今回は、LINEのアカウント乗っ取り事件を検証します。
LINE乗っ取り詐欺被害はこうして起きた
「LINE乗っ取り詐欺被害 滋賀・長浜」(2014年7月5日 京都新聞)
滋賀県長浜市内の病院に勤務する男性医師(36)が、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のアカウントを乗っ取られ、何者かがスマートフォンから偽のメッセージを男性医師の同僚の男性職員(23)と女性看護師(23)に送付。
メッセージには、「コンビニで電子マネーのプリペイドカードを買うのを手伝ってもらえますか」、「買った後にカード番号の写真を送ってほしい」などとあったため2人は、それぞれ16万円と6万円相当のプリペイドカードを購入し、電子マネーを利用するためのカード番号も伝えてしまいました。
しばらくして、医師がラインを利用できないことに気づき、また同様のメッセージを受けていた他の知人からの指摘でアカウントが不正利用されていることに気づいたようです。
プリペイドカードの電子マネー22万円分は、すでに全額使用されていたということで、滋賀県警長浜署は、インターネット上の商品購入の決済などに利用したとみているとのことです。
同署は、LINEでの金銭被害が発生したことを受け、詐欺と不正アクセス禁止法違反の疑いで捜査すると発表しました。
リーガルアイ
インターネットなどのコンピュータネットワークを利用して、他の端末に不正にアクセスすることなどを禁止する法律があります。
「不正アクセス禁止法」
第3条(不正アクセス行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
これに違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
第4条(他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為(第2条4項第1号に該当するものに限る。第6条及び第12条第2号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。
これに違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
以前、「不正アクセス禁止法」について解説しました。
「他人のメールを盗み見るのは犯罪か?」
https://myhoumu.jp/nusumimi/
許可なく、他人のIDとパスワードを使ってインターネットを通じてFacebookやメールシステムなどにアクセスすると犯罪になる、というものでした。
実際、離婚調停中の妻のID、パスワードを使ってメールを盗み見ていたとして、夫が逮捕された事例もあります。
ところで今回の事件は、お金をだまし取っていることから、犯人逮捕となれば「詐欺罪」が適用される可能性が高いと思われます。
「刑法」
第246条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
2014年はLINEのほか、mixiやニコニコ動画などの大手サービスでも、不正ログインの被害が続発しました。
LINEでは、2014年6月20日までに413件の問い合わせがあり、303件で別人による勝手なログイン(LINEの乗っ取り)が確認されていると発表しました。
これらの事例から、LINEの乗っ取りの過程を見ていくと、ひとつの流れ・パターンがあるようです。
①同じパスワードを複数のサービスで使用
②そのうちのどこかからメールアドレス、パスワードが流出
③犯人が他の端末からログインしてパスワードを変更
④本人がログインできなくなる
⑤友人・知人に偽メッセージを送りつける
いつもの本人の口調とは違う、しかも日本語が不自然なお金絡みのメッセージが届いたら要注意です!
やはり、以前から言われているように、