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職場は、安全第一。
企業には、働く従業員たちが安全で働きやすい環境作りが求められます。
しかし、いくら注意をして、安全管理に力を入れていても、事故が起きることはあります。
労働者の業務中の負傷、疾病、障害、死亡を「労働災害(労災)」といいます。
また、労災には通勤中でのケガ、病気なども含み、これを「通勤災害」といいます。
労災が起きた場合、企業には所轄労働基準監督署長への報告義務が法律で定められています。
しかし、それが守られていないケースもあるようです。
事件はこうして起きた
「“元請けに迷惑をかけられない”と労災事故報告せず、元事業所長ら書類送検」(2015年8月6日 産経新聞)
舞鶴労働基準監督署は、社員が労災事故で休業したにもかかわらず報告書を提出しなかったとして、堺市の叶電機工業所と、同社舞鶴事業所の元事業所長(71)を、労働安全衛生法(報告義務)違反容疑で地検舞鶴支部に書類送検した。
平成25年11月27日、京都府舞鶴市の工事現場で男性社員(当時44歳)が溶接作業中にやけどを負い4日間休業したにもかかわらず、元事業所長は同労基署に労働者死傷病報告書を提出しなかった。
ところが、2015年5月に休業した男性社員が同労基署に相談したことで発覚。
「元請けに迷惑をかけたくなかった」などと、元事業所長らは話しているという。
リーガルアイ
【労災隠しとは?】
労働者の業務中の負傷、疾病、障害、死亡などの報告義務違反は「労災隠し」と呼ばれます。
「労働安全衛生法」
第100条(報告等)
1.厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
3.労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
これに違反すると、50万円以下の罰金に処されます。(第120条5号)
また、労災の報告について、労働安全衛生法に基づき定められている「労働安全衛生規則」の第97条では、以下のように規定されています。