社会の高齢化に伴い、高齢者ドライバーの比率が高くなっています。
長生きするだけでなく、年を重ねても、いつまでも元気で活動できることは多くの人々の願いでしょう。
しかし、困った問題も増えています。
逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いなども原因となっている、高齢者ドライバーによる交通事故や危険運転の増加です。
問題の核心をチェック
高齢の父親(82)の自動車運転を止めさせたい方からの相談。
最近、父親が運転する自動車の助手席に乗ったところ、危ないと感じることが何度かあった。
高速道路の逆走や、高齢者の起こした交通事故のニュースを見ると心配になるとういう。
頑固な父親に、法律の話をすれば納得して運転を止めてくれるのではないかと考えている。
高齢者に関する法律や規制などあれば教えてほしい。
リーガルアイ
法律の解説をする前に、まずは近年の高齢者ドライバーによる交通事故や逆走などの統計データを見てみましょう。
本当に高齢者ドライバーによる交通事故は増えているのでしょうか。
【交通事故件数は減少しているのに高齢者の死者数は増加】
「平成26年度年中の交通事故死者数について」(警察庁)の統計によると、平成26年度中の交通事故の発生件数は57万3842件、死者数は4113人で年々減少しています。
しかし、注目すべきは65歳以上の高齢者の割合と死者数です。
全体に占める高齢者の割合は53.3%、死者数は2193人に達し、統計がある昭和42(1967)年以降で最も高くなっています。
詳しい解説はこちら⇒「検証!交通事故は増えている?減っている?」
さらに、最新の統計データ「平成27年度年中の交通事故死者数について」(警察庁)を見てみます。
交通事故の発生件数は53万6789件、死者数は4117人で、事故件数自体は3万7000件以上減少しているにも関わらず、死者数が15年ぶりに増加してしまいました。
これは、致死率の高い高齢者の人口増加も要因と考えられ、実際、高齢者の死者数は2247人、全体に占める割合は54.6%と前年に比べて増加しています。
なお、高齢者の死者数のうち自動車乗車中の割合は約30%と考えられます。
【高速道路での交通事故・逆走の多くは高齢者ドライバー】
高速道路6社(東日本・中日本・西日本など)の調査によると、2011(平成23)年~2014(平成26)年の高速道路会社管内における交通事故または車両を確保した件数は739件となっています。
特徴として次のことがあげられます。