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非弁行為とは?弁護士じゃないのに法律業務をすると逮捕される!?



資格が必要な職業というと、法律業務の専門家である弁護士を思い浮かべる人も多いかもしれません。

では、弁護士資格がない人が法律業務を行うと、どうなるでしょうか?

それは犯罪になる可能性があります。

非弁行為に関する事案はこうして起きた

「〝無資格〟弁護士の会社役員を逮捕 民事訴訟受任し書類作成…大阪地検特捜部」(2016年11月1日 産経新聞)

2015年4月から8月頃、弁護士資格がないにもかかわらず、報酬を得る目的で法律事務を行ったとして、大阪地検特捜部は、大阪市鶴見区の会社役員の男(68)を弁護士法違反(非弁活動)の疑いで逮捕した。

容疑者の男は、貸金返還や損害賠償請求といった3件の民事訴訟を受任。
訴状などの書類を作成して大阪地裁などに提出していた。

非弁行為(非弁活動)を継続的に繰り返していた可能性もあるとみて、同特捜部は容疑者の男を調べているという。

非弁行為とは?弁護士による動画解説

非弁行為(非弁活動)とは?

「弁護士法」は、日本の弁護士制度について定めた法律で、1893(明治26)年に制定された後、1946(昭和24)年に全部改正されています。

では、非弁行為(非弁活動)に関する条文を見てみましょう。

弁護士法 第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)


弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

非弁活動とは、弁護士資格を持たない者が上記条文で禁止されている行為を、報酬を得る目的で反復継続して行うことです。

違反した場合は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます。(弁護士法第77条3号)

非弁行為(非弁活動)に問われた事件や判例

過去、非弁行為(非弁活動)に問われた事件や判例について一部を紹介します。

地上げ屋が行った非弁行為(非弁活動)

2008年3月、建設・不動産会社「光誉実業」(大阪市)の社長らが弁護士法違反で逮捕された。
社長らは弁護士資格がないのにオフィスビル(秀和紀尾井町TBRビル)の立ち退き交渉をしていた。
このオフィスビルは、もともとは商業ビル経営の「秀和」が所有していたがモルガン信託銀行に移り、2005年9月、東証二部上場企業だった建設・不動産会社の「スルガコーポレーション」(横浜市)が買収。
その後、スルガコーポレーションは、2007年9月までにビルを解体し、更地にした後、高値で商業施設開発会社「アーバンコーポレイション」(広島市)に売却していた。
買収の際、スルガコーポレーションは暴力団との関わりを持つ光誉実業に、いわゆる「地上げ」による立ち退き交渉を委託。
多額の報酬を支払っていたという。

これは、地上げ、土地転がしに関連して、地上げ屋が多額の報酬を得て立ち退き交渉という法律事務を行ったために弁護士法違反に問われたもので、「スルガ地上げ事件」と呼ばれているものです。

行政書士が行った非弁行為(非弁活動)

交通事故被害者から自賠責保険の申請手続、書類作成およびこれに付随する業務に関する依頼を受けた行政書士が、報酬の支払いを求めて控訴したが、裁判所は請求を棄却。
行政書士の請求を棄却した原審の判断を維持し、本件契約が法律事務に当たり、弁護士法第72条に違反する非弁行為に該当することから、公序良俗に反して無効であるとした。
(大阪高裁平成26年6月12日判決・判例時報2252号61頁)

行政書士が、遺産分割についての紛争が生じている場合に他の相続人と折衝することは、行政書士業務の範囲外であると判断された。
(東京地裁平成5年4月22日判決・判例タイムズ829号227頁)

司法書士が行った非弁行為(非弁活動)

本人訴訟による約1300万円の過払金返還請求の訴え提起が司法書士による代理行為によるものであるとされ、これは、民事訴訟法54条1項、弁護士法72条に違反する違法なものであり不適法であると却下された。
(富山地裁平成25年9月10日判決・判例時報2206号111頁)

なお、2016年6月には、債務整理において、司法書士が弁護士に代わって取扱いができる金額の上限は「個別の債権額が140万円以下」との最高裁判決が出ています。

司法書士の債務整理における業務範囲についての解説はこちら⇒
債務整理を頼むなら弁護士?それとも司法書士?

インターネットの発達、普及により、近年では誰でも簡単にホームページを開設したり、ネット広告を作成、掲載することができるようになりました。
そのため、弁護士でない者が法律相談を受けたり、問題解決を請け負っているという例も増えているようです。

たとえば、2013年には、2年間で約1000人から過払金返還請求を請け負い、約12億円を回収して約3億円の報酬を得ていたとして、弁護士資格のない宮城県の夫婦が逮捕されています。

お金の貸し借りについては、弁護士資格のない者が報酬を得て依頼者の代理で取り立て業務を行ったり、逆に債務者が借金返済できない場合に代理として返済条件の交渉を債権者と行うことも禁じられています。

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