当社では毎年一定数の新卒社員を採用してきましたが、近年は人材の確保が難しくなってきたことや早期の離職者もいるため、入社後の配属先を確約する制度の導入を検討しています。この制度を導入する場合の留意点があれば教えてください。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
ここ数年、コロナ禍を経て働く環境が大きく変化したこともあってか、転勤制度を見直したり、ご質問のように、新卒で入社する予定の社員に対する配属先の確約制度を導入する大手企業が増えているようです。
通常、入社時点では正式な配属先を決定せず、入社研修や仮配属期間を得て正式な配属を決めることが多いかと思いますが、新卒社員にとってその結果が希望した配属先ではない場合、「配属ガチャ」と呼ばれるようになりました。
そのようなことから、入社を希望する会社で、しかも最初から希望する仕事に就くことができるというこの制度は、就職を検討する学生にとってはメリットしかないように思われます。
その反面、その仕事がどういう仕事であるのかきちんと理解しておくことが求められるでしょう。例えば「企画」の仕事がしたいと希望していても、その理由が「人気があるから」とか「格好いい」というようなイメージ先行である場合には、結局早期離職してしまうことになりかねません。
そういう意味では、企業側も良い面ばかりではなく、大変な面もしっかり伝えることで採用のミスマッチを可能な限り防ぐ努力が求められます。
この制度は企業側からすれば学生の内定辞退や入社後の早期離職を抑制できるだろうというメリットはありますが、学生が人気のある職種ばかりを希望した場合の対応が難しくなるかもしれません。