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社員の給与の前借りは認めるべきか?


先日、採用したばかりの社員から、「給与の前借りをお願いできませんか?」と相談がありました。
当社の給与は、末締め翌月25日に支給しています。
前借りを認める場合の留意点がありましたら教えてください。


【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

貴社の規程では、給与は毎月25日支給となっているとのことですが、今回のご相談のように、社員が給与支給日前に「前借り」を依頼してくるケースの他、「前払い」を依頼してくるケースもあります。

まず後者の前払いですが、これは労働基準法第25条に「非常時払」という規定があります。

「使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。」

また、労働基準法施行規則において、非常時払に該当する具体的内容が明記されています。

1.労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害を受けた場合

2.労働者又はその収入によって生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合

3.労働者の収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合

このように、非常時に該当する項目は限定されており、該当する場合に限り給与支給日の前であっても既に働いた分の賃金は請求することができ、使用者は請求があった場合には支払わなければならないことになっています。

これに対して、前借りですが、労働基準法に賃金と借金の相殺を禁止する条文(第17条)が規定されているものの、前借りを認めるとか、禁止する旨の規定はありません。

そのため、会社が前借りを認めることは「可能」となります。

弊所の顧問先でも過去に前借りを認めたケースがいくつかあり、ご相談を受けた際には「金銭消費貸借契約書」を作成するようアドバイスさせていただいています。

簡単に言うなら、

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