税金の申告の提出期限が過ぎてしまいました。期限後申告というものがあることを知ったのですが、これから申告するにしても税務署の対応は厳しいものになるのでしょうか?
【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
前回、税金の「期限後申告」について解説しました。
期限後申告とは、提出期限を過ぎてから税金の申告をすることで、「無申告加算税」や「延滞税」を課せられてしまいますし、会社にとっては、さまざまなデメリットがあります。
ところで、期限後申告により被るデメリットは自業自得とはいえ、実際に税務署は会社に対して、どのような厳しい対応をしてくるのでしょうか?
今回は、2つのケースをご紹介します。
「ケース1」
何年も確定申告書を提出していなかったケースです。
提出していないということは税金も納めていないので、滞納額は多額に膨らんでいました。
しかし、この会社は事業の運転資金として使っていたため、納めるお金はありませんでした。
最悪の場合は、財産の差し押さえもあり得ます。
そこで、税務署の管理徴収部門と分割納付の交渉をすることになりました。
といっても、すぐに話がまとまりません。
会社側は資金繰りを優位にするために、できるだけ分割納付の期間を長くして1回の支払金額を少なくしたいのに対して、徴収官は1年以内で納付するように要求してきました。
結局、1年間の分割納付で話は落ち着きましたが、問題はその先でした。
なんと、12枚の支払手形を切らされたのです。
これは税務署がよく使う手法ですが、1回の滞納=手形の不渡りとなり、6ヵ月の間に2回不渡りを出すと銀行取引が停止されます。
そうなると、会社は事実上の倒産ということになってしまいます。
社長は、納付の前は毎月、夜も眠れなかったそうです……。
「ケース2」
病気のため、2期連続にわたって期限後申告して、青色申告を取り消された会社の事例です。
社長は情状酌量を求めて、青色申告に戻してくれるように懇願する手紙を青色申告承認申請書とともに税務署に提出しました。
手紙には、病気の内容や発症してから治るまでのいきさつを細かく記載しました。
決して、税務行政の足を引っ張る意図はなかったことを訴えましたが、結局は認められませんでした。
税務署からは、「法律の通りに適用する」とのひとことで片づけられてしまったそうです。
このように