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被相続人が老人ホームに入所した際の小規模宅地等の特例適用について

被相続人が老人ホームに入所した状態で相続が発生したケースでも、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)は適用可能です。

ただ通常の特定居住用宅地等の特例要件に加え、老人ホーム要件を満たす必要がありますので解説します。
(本記事では、特定居住用宅地等の老人ホームに関する適用要件については、「老人ホーム要件」と表記します。)

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

小規模宅地等の特例の老人ホーム要件とは

老人ホーム要件は、被相続人が入所している施設だけでなく、相続開始直前の被相続人の状態も判定基準に含まれています。

被相続人が要介護認定等を受けている

老人ホーム要件は、被相続人が要介護認定など、次のいずれかの認定を受けている必要があります。

本人が介護を要する状態であったり障害を抱えていたりしたとしても、認定を受けていなければ老人ホーム要件は満たさないため、特定居住用宅地等は適用できません。

<要介護認定等の種類>
● 要介護認定
● 要支援認定
● 障害支援区分の認定

要介護認定と要支援認定は、介護保険法第19条により市町村が認定します。

障害支援区分の認定は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条により、被相続人が市町村から障害支援区分の認定を受けます。

特例の対象となる老人ホーム等へ入所している

要介護認定等を受けている被相続人が入所・入居するのは、法律で定められた施設でなければいけません。

そのため介護を受けるために自宅を離れ、子どもの家へ居住していた場合や、法律上の要件を満たしていない施設へ入所・入居していた場合、特定居住用宅地等は適用できません。

<要介護認定・要支援認定者が入所する施設の種類>
1. 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居
(老人福祉法第5条の2第6項)

2. 養護老人ホーム
(老人福祉法第20条の4)

3. 特別養護老人ホーム
(老人福祉法第20条の5)

4. 軽費老人ホーム
(老人福祉法第20条の6)

5. 有料老人ホーム
(老人福祉法第29条第1項)

6. 介護老人保健施設
(介護保険法第8条第28項)

7. 介護医療院
(介護保険法第8条29項)

8. サービス付き高齢者向け住宅
(高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項)
(上記1~6の有料老人ホームを除く)

<障害支援区分の認定者が入所する施設>
1. 障害者支援施設
(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第11項)
(同条第10項に規定する施設入所支援が行われるものに限る。)

2. 共同生活援助を行う住居への入所・入居
(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第17項)

要介護認定・要支援認定の判定時期

要介護認定・要支援認定の判定時期は、被相続人の相続開始直前です。

ただ介護保険法では認定した際の効力は、申請のあった日に遡って生ずるものとしています。

老人ホームに入所後に要介護認定等の申請を行い、認定前に相続が発生した場合、申請が認められたのが相続開始以後であっても、相続開始直前において要介護認定等を受けていたものとみなされます。

なお市町村が要介護認定・要支援認定の申請から判断するまでの期間は、申請のあった日から30日以内です。

老人ホームへ入所していても小規模宅地等の特例を適用できないケース

老人ホーム施設へ入所している場合でも、特定居住用宅地等を適用できないケースもあります。

特定居住用宅地等の要件を満たしていない

老人ホーム要件を満たしていたとしても、通常の特定居住用宅地等の要件を満たしていなければ、小規模宅地等の特例を適用することはできません。

配偶者が自宅を相続すれば適用できますが、同居親族が相続した際は継続・保有要件があります。

相続税の申告期限前に引っ越したり対象物件を売却したりした場合、特例は適用できません。

また同居親族がいる場合で、同居親族以外の相続人が自宅を相続すると特定居住用宅地等は適用できないため注意してください。

要介護認定等を受けていない

特定居住用宅地等の老人ホーム要件は、被相続人が要介護認定・要支援認定・障害支援区分の認定のいずれかに該当している必要があります。

そのため要介護認定等に該当しない状態で老人ホームへ入所し、相続が発生した場合には特定居住用宅地等を適用することはできません。

法律要件を満たしていない施設への入所

特例対象となる老人ホーム等は、老人福祉法や介護保険法に掲げられた設備等が整っている施設に限られます。

被相続人が無許可の老人ホームへ入所していた場合、小規模宅地等の特例で掲げられている施設に該当しない場合があります。

また相続税の申告書を提出する際、 施設への入所時における契約書の写しなどを添付することになるため、入所した施設が法律要件を満たした施設なのか事前に確認してください。

老人ホームへ入所後に別用途として利用

被相続人が老人ホームへ入所から相続発生までの期間は、被相続人の居住用以外の用途に供してはいけません。

被相続人と同居する親族がいた場合、その同居親族の居住用として継続利用しても問題ありません。

しかし被相続人が一人暮らしだった際は、対象物件を貸付用や事業用として使用せず、相続開始まで空き家の状態で管理する必要があります。

まとめ

平均寿命が延びている状況下では、介護施設で生涯を終える人も増えています。

相続開始以後に

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