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税務調査で問題になりやすい短期前払費用の注意点とは?



年払いの保険料を一括で経費に落とせると聞きましたが、本当に問題ないのでしょうか? また、その仕組みや条件などがあれば教えてください。


【この記事の監修者】税理士法人桜頼パートナーズ会計 小髙事務所 小髙 正之

生命保険会社の営業マンから、節税対策として、年払いの保険商品を勧められたことはありませんか?

こうした保険商品は、12か月分のうち1か月分だけが当事業年度で、残りの11か月分が翌事業年度の場合でも、決算日までに支払えば全額を経費に落とすことができます。

しかも、こんなセールストークに説得されたことがある経営者も多いのではないのでしょうか?

「解約するタイミングによっては、支払金額より、解約返戻金と節税した金額の合計額のほうが上回ります」

このように、年払いした金額を期間配分しないで、一括で経費に落とせる「短期前払費用」(期間が1年以内の費用)という節税スキームは税法上、認められています。

ところが、短期前払費用は税務調査で問題になりやすい項目のひとつです。
なぜなら、この短期前払費用は優遇税制のために設けられたわけではないからです。

そこを理解しないで活用すると、間違いが指摘されることになりかねないのです。

【短期前払費用を一括で経費に落とすための6つの条件】

そもそも、「短期前払費用」の趣旨は、税務の実務を簡便にするためです。

この基本通達を節税のために都合よく活用することは、税法の大原則である「課税の公平」に反します。

そのため、短期前払費用を一括で経費に落とすためには次のような条件があります。

①重要性の原則
年払いの金額を一括で経費に落とすことにより、節税額が著しく大きくなる場合は問題になります。

②等質・等量のサービスの対価であること
地代家賃や保険料などのように、年数が経過しても確実にサービスの質・量が同じであることが求められます。

③契約に基づいていること
口約束ではなく、書面で年払いの契約を交わす必要があります。
なぜなら、恣意性を排除するためです。

④サービスが決算月をまたぐこと
翌事業年度分を年払いしても当事業年度に関係ないので、決算月までに支払っても一括で経費に落とすことはできません。
(月払いの地代家賃を除きます)

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