企業が円滑に事業経営を行うためには、タックスプランニングが必要不可欠です。
将来支払うことになる税金を予測することで、納税資金を事前に準備できますし、納税額に応じた節税策を講じることも可能です。
本記事では企業がタックスプランニングに取り組むべき理由と、実施する際の注意点について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
タックスプランニングとは
タックスプランニングとは、将来発生する税金を予測して支払い方法などを計画することをいいます。
企業であれば法人税や消費税等の支払い計画であり、不動産や有価証券を売却することで繰延税金資産の回収を検討している場合、売却時期や売却できる可能性について判断は必要です。
またタックスプランニングは無駄な税金を支払わないために実行するものであり、合法かつ合理的な手段です。
違法行為であれば税務調査により指摘され、追徴課税の対象となることも考えられます。
しかし合法的な方法であれば税務署から節税策を否認されることはありませんので、タックスプランニングは企業努力の一環として行うべきものです。
企業のタックスプランニングが重要視される理由
タックスプランニングは、予測した利益に対して合理的な方法で納税額を減らす一方、将来投資する際に必要となる資金をあらかじめ資金調達するなど、会社を成長させるための戦略として重要視されています。
法人税は企業の利益に対して課される税金なので、赤字であれば法人税を課されることはありませんが、利益を出さなければ設備投資にまわせる資金は不足するため、利益を出しつつ支払う税金を抑えることが企業の経営戦略として必要です。
ただ利益が発生に伴い多額の税金を支払うことになれば、企業自身のために費やせる資金が少なくなりますので、節税手段を用いないことが会社の成長の妨げになることも考えられます。
税金の支払いを考えずに設備投資を行い税金の滞納が発生してしまうと、金融機関から融資を受けるのは難しくなり、経営状態の悪化は避けられません。
したがって税金の支払いがどの程度になるか予測することは非常に重要です。
タックスプランニングを行う際に注意すべきこと
節税は手段であり目的ではない
タックスプランニングは税務に関する知識はもちろんのこと、会社の経営状態や運営方針などを加味して計画しなければなりません。
節税だけを最優先に考えた場合、不必要な支出の増加により経営が悪化することもあります。
また利益が出ていなければ対外的に経営状況が良くないと受け取られることも想定され、金融機関からの評価が下がれば、先行投資で必要になる融資を受けられず、会社が成長する機会を逸することになる可能性もあります。
したがって納税額をゼロにすることが必ずしも正解とは限りませんし、法人税を支払う状況になったとしても、会社にキャッシュが残るような形で税金対策をした方がいいケースも存在します。
なお法人税は利益に対して税率を乗じるため、利益が発生していなければ法人税の支払いはありませんし、法人の欠損金は10年間繰り越すことが可能です。
そのため