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事業規模が同じなら法人の方が個人事業主より節税できる

法人と個人事業主では同じ事業を行っていても納税額に違いが出ますが、一定以上の利益を出している個人事業主については、法人として活動した方が納税額を抑えることができます。

本記事では法人と個人事業主の税金関係を比較し、法人が節税しやすい理由について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

法人と個人事業主に対して課される税金

法人と個人で共通する税金もあれば、「法人税」と「所得税」のように課される税金の種類が違うものもあります。

< 法人・個人事業主に課される主な税金の種類 >
●法人に課される税金
・法人税(地方法人税)
・法人住民税
・法人事業税
・特別法人事業税

●個人事業主に課される税金
・所得税(復興特別所得税)
・個人住民税
・個人事業税

●共通する税金
・固定資産税
・自動車税
・消費税(地方消費税)

< 法人・個人事業主に課される主な税金の種類 >

●法人に課される税金
・法人税(地方法人税)
・法人住民税
・法人事業税
・特別法人事業税

●個人事業主に課される税金
・所得税(復興特別所得税)
・個人住民税
・個人事業税

●共通する税金
・固定資産税
・自動車税
・消費税(地方消費税)

法人税と所得税はどちらとも利益に対して課される税金ですが、税率は異なります。

所得税の税率は7段階になっており、最低税率は5%と法人税よりも低く設定されている一方、
最高税率は45%と利益が多くなると税負担が重くなります。

法人税の税率は2段階しかなく、資本金1億円以下の普通法人等などに該当する場合、課税される金額が
800万円以下であれば税率は15%と、所得税の最低税率よりも高いです。

しかし課税される金額が800万円を超えてからの税率は23.2%と、最高税率は所得税の半分程度しかないため、利益が多い事業は法人として運営した方が納める税金が少なくなります。

【所得税の税率の速算表(平成27年分以降)】

●課税所得金額:195万円以下
税率:5%
控除額:0円

●課税所得金額:195万円超〜330万円以下
税率:10%
控除額:97,500円

●課税所得金額:330万円超〜695万円以下
税率:20%
控除額:427,500円

●課税所得金額:695万円超〜900万円以下
税率:23%
控除額:636,000円

●課税所得金額:900万円超〜1,800万円以下
税率:33%
控除額:1,536,000円

●課税所得金額:1,800万円超〜4,000万円以下
税率:40%
控除額:2,796,000円

●課税所得金額:4,000万円超
税率:45%
控除額:4,796,000円

【所得税の税率の速算表(平成27年分以降)】

●課税所得金額:195万円以下
税率:5%
控除額:0円

●課税所得金額:195万円超〜
330万円以下

税率:10%
控除額:97,500円

●課税所得金額:330万円超〜
695万円以下

税率:20%
控除額:427,500円

●課税所得金額:695万円超〜
900万円以下

税率:23%
控除額:636,000円

●課税所得金額:900万円超〜
1,800万円以下

税率:33%
控除額:1,536,000円

●課税所得金額:1,800万円超〜
4,000万円以下

税率:40%
控除額:2,796,000円

●課税所得金額:4,000万円超
税率:45%
控除額:4,796,000円

【法人税の税率(事業開始年度平成31年4月1日以降)】
・課税所得金額800万円以下の部分
→ 税率15%

・課税所得金額800万円超の部分
→ 税率23.20%

※普通法人でかつ、資本金1億円以下の法人などに該当する場合

法人が個人事業主よりも節税手段を講じやすい理由

経費として計上できる支出の範囲が広い

法人税や所得税は利益の額に応じて税率が高くなるため、1年(事業年度)ごとの利益を平準化させることで対象税率を引き下げ、合計の納税額を抑制することができます。

利益を平準化する手段としては、設備投資を利益が発生した年に実施し、利益の額を減らす方法があります。

ただ経費計上できるのは事業に直接要した支出だけです。

個人事業主はプライベートに関する支出を経費計上できませんし、車などの公私で使用している資産は事業用として使用している割合のみが経費となるため、経費を使っての節税は行いにくいです。

それに対し法人は、会社が支出した費用は基本的に経費となりますし、会社が賃貸物件を借りて社宅として使用すれば、家賃を経費にすることも可能です。

また個人で支払っている生命保険料は控除額に上限が設定されていますが、法人が支払う保険料には上限がないため、支払った保険料をそのまま経費にできます。(但し、解約返戻金の高い貯蓄型保険を除きます)

退職金の準備に生命保険を活用すれば、保険料を経費計上しつつ資金をプールできるのも法人の利点です。

役員報酬により所得を分散できる

個人事業主は事業所得とそれ以外の所得を合算し、所得税の税率計算をしなければなりません。

しかし法人は役員報酬を支払うことで、利益に対する税金を法人税と所得税に分散させることができます。

役員に支払う報酬は、一定の条件を満たすことで法人の経費にできますし、役員報酬の額は事業年度の利益に関係なく毎年同額を支給することが可能です。

赤字を繰り越しできる年数が長い

法人も個人事業主も青色申告を行っていれば、赤字(欠損金)を翌年以降に繰り越すことが可能です。

しかし繰越できる年数がそれぞれで異なり、個人事業主は最長3年ですが、法人は最長10年繰り越せます。

新規で事業を行う場合、初期投資や先行投資による費用がかさむため赤字になりやすく、事業内容によっては黒字化するのに時間がかかることもあります。

また黒字化しても過去の赤字をすべて相殺するには数年かかることもあるため、長期的に事業展開する際は、赤字を繰り越せる期間が長い法人の方が有利です。

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