加算税は、修正申告書や期限後申告書を提出した際に支払うことになるペナルティですが、修正申告書等を提出する状況によっては、加算税の税率が上がることもあります。
本記事では加算税の税率と、軽減・加重措置が適用されるケースについて解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
目次
加算税の概要
加算税の種類と適用される税率
加算税には、「過少申告加算税」・「無申告加算税」・「不納付加算税」・「重加算税」の4種類あります。
過少申告加算税は、期限内申告に対応する修正申告書を提出した際に課される税金です。
税率は原則10%ですが、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については、適用される税率が15%に上昇します。
無申告加算税は、期限後申告または、期限後申告に対応する修正申告書を提出した際に課される税金です。
税率は15%が基本ですが、50万円超の部分に対しては20%の税率が適用されます。不納付加算税は源泉所得税について期限後に納付があった場合に対して課される税金で税率は10%です。
重加算税は、仮装隠蔽があった場合に課される税金です。
過少申告加算税に代えて重加算税が課される際の税率は35%、無申告加算税に代えて課される場合の重加算税の税率は40%です。
加算税の不適用・割合の軽減になるケース
過少申告加算税は、正当な理由がある場合や、更正を予知しない修正申告に対しては課されません。
更正を予知しない修正申告とは、税務調査の連絡を受ける前に自主的修正申告書(当初期限内申告)を提出した場合などが該当します。
更正・決定を予知しない期限後申告(自主的期限後申告)を行った際は、無申告加算税の税率が15%から5%に減額され、50万円超の部分に対する税率の上乗せもありません。
また正当な理由がある場合や、法定申告期限から1月以内にされた一定の期限後申告については、無申告加算税が不適用になる規定も存在します。
調査通知を受けてから修正申告等を提出した場合の加算税の税率
税務署が税務調査を実施する場合、納税者に対して調査通知が行われます。
「調査通知」とは、調査担当者が調査対象者に対して、次の3項目を伝えることをいいます。
●実地の調査を行う旨
●調査の対象となる税目
●調査の対象となる期間
平成28年度の税制改正において加算税制度は見直しされ、調査通知以後から調査による更正等予知前までに修正申告書等を提出した際の取扱いが追加されました。
税制改正以前は、税務調査で申告誤りを指摘される前に修正申告書等を提出すれば、自主申告扱いとなっていましたが、現在は自主申告扱いにはなりません。
したがって、調査通知を受けた後に修正申告書を提出した場合には加算税が課されますし、一定金額を超えた部分に対する税率の上乗せ措置も適用されるのでご注意ください。
(修正申告等の時期)
法定申告期限等の翌日から調査通知前まで
(過少申告加算税の税率)
対象外
(無申告加算税の税率)
5%
(修正申告等の時期)
調査通知以後から調査による更正等予知前まで
(過少申告加算税の税率)
5%↓
(10%)
(無申告加算税の税率)
10%↓
(15%)
(修正申告等の時期)
調査による更正等予知以後
(過少申告加算税の税率)
10%↓
(15%)
(無申告加算税の税率)
15%↓
(20%)
※カッコ書きの税率は加重される部分に対する税率
短期間に繰り返して無申告加算税・重加算税の対象となる場合の加重措置
期限後申告書を提出する際、その申告があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税または重加算税が課されたことがある場合、加算税の税率が10%上乗せされます。
無申告加算税については、調査による更正または決定の予知後に課されたものに限られますが、対象となった場合には税率が25%(30%)となりますので要注意です。
また、無申告加算税に代えて課される重加算税の税率は50%と非常に重いですので、法人税や所得税など毎年確定申告を行う税目については、仮装・隠蔽を行わないことはもちろんのこと、期限内申告を心掛けてください。