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BCP(事業継続計画)とは。策定目的と運用する際のポイントを解説

日本は毎年のように地震や台風などの自然災害が発生しており、どの場所で事業を営んでいたとしても被災する可能性はゼロにはなりません。

被害状況によっては事業を中断せざるを得ませんし、事業継続が困難になるケースもあるため、企業には緊急事態への対策としてBCP(事業継続計画)の策定が求められています。

本記事では、BCPを策定する目的と、実際に運用する際のポイントについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

BCP(事業継続計画)を策定する意義

BCP(Business Continuity Plan)とは、企業が自然災害などの緊急事態に備えて行う危機管理方法です

中小企業は大企業とは違い、経営基盤が盤石ではありませんので、緊急事態の状況次第では事業の縮小や従業員の解雇、そして廃業に追い込まれるリスクがあります。

記憶の新しいところでは、新型コロナウィルス感染症の影響で多くの企業が緊急事態に見舞われました。

BCPは緊急事態に遭遇した際の影響を最小限に留めるとともに、事業の継続や早期復旧を可能にするために活用するものですので、緊急事態に遭遇することを想定して策定しなければなりません。

また企業の緊急事態への対応は、顧客からの信用を得るだけでなく、金融機関など市場関係者から評価を受ける際の基準にもなりますので、企業価値を高める目的としてもBCPは重要視されています。

BCPが持つ役割と効果

中小企業庁では中小企業にBCPの普及・促進を目的として、中小企業BCP策定運用指針を公表しており、BCPの役割として次の5項目を掲げています。

<BCPの役割>
● 優先して継続・復旧すべき中核事業の特定
● 緊急時における中核事業の目標復旧時間の設定
● 事前に顧客と緊急時に提供できるサービスレベルの協議
● 事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策の用意
● 全従業員と事業継続についてのコミュニケーションを図る

企業が緊急事態に遭遇すれば操業率は大きく低下し、すべての事業を継続するのは難しくなります。

事前に緊急事態の対策を講じていなければ、事業の復旧が大幅に遅れるだけでなく、経営困難に追い込まれることも考えられます。

一方、BCPを導入していれば、緊急事態に遭遇したとしても中核事業を維持することができますし、事業全体を早期に復旧させることも可能です。

完全復旧までの時間が短ければ経営への影響を最小限に抑えることができますし、早期に復旧した実績は市場価値を高めることにも繋がります。

中小企業がBCPを策定する際のポイント

中小企業がBCPを策定する場合、企業が置かれている状況を加味して計画を練る必要があります。

BCPの策定目的を明確にする

緊急事態が起った場合、負のスパイラルを食い止めることが重要です。

事業を継続できなければ顧客の信用は崩れ、売上は下がり、経営が厳しくなります。

経営が困難になれば、従業員の雇用を維持することができなくなり、地域経済の活気が失われていきます。

被災した際、公的金融機関による中小企業向けの緊急時融資制度など、支援制度の活用も選択肢となりますが、支援制度や相談窓口の存在を認識していなければ利用することはできません。

また災害が発生した直後の段階では支援を受けられない可能性もあることから、被災した時点で企業が行える行動を明確にし、実行できるように計画を策定してください。

BCPの運用体制を確立させる

BCPの策定・運用は重要な経営課題ですので、経営者自らが率先して策定・運用推進に当たってください。

BCPを策定しても運用できなければ意味がありませんので、企業内でBCPを運用する体制を確立することが大切です。

事業規模がある程度大きい企業においては、業務などに応じて役割分担を行い、計画に参加してもらう必要があります。

また緊急時に事業を継続させるには、取引先企業等の連携や協力が不可欠ですので、事前に意見交換等を行い、緊急時の対応方法を決めてください。

緊急事態が発生し、BCPを運用することになった場合、従業員が策定した計画通りに行動できるかが成否を左右します。

そのためBCPは策定するだけでなく、従業員が当事者意識を持つことができるよう、普段から取り組んでいることを周知してください。

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