譲渡資産が平成21年または平成22年に取得した土地等だった場合、譲渡所得の1,000万円特別控除を適用できる可能性があります。
本記事では「特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」の適用要件および、注意点について解説します。
目次
個人が譲渡所得の1,000万円特別控除を適用する場合
個人が譲渡した土地等が平成21年または平成22年に取得したものであった場合、「特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」の適否判定を行ってください。
特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の概要
「特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除(措法35条の2)」は、個人が平成21年に取得した国内にある土地または、土地の上に存する権利を平成27年以降(平成22年中に取得した土地等は平成28年以降)に譲渡した場合、その土地等に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除することができる制度です。
適用対象となる譲渡資産は平成21年または平成22年に取得した土地等に限られますが、居住用や事業用以外の用途に供している土地等に対しても適用できるのが特徴です。
譲渡所得の1,000万円特別控除の適用要件
「特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」の適用要件は、以下の通りです。
<1,000万円特別控除の適用要件>
・土地等を平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得
・平成21年に取得した土地等は平成27年以降に譲渡
(平成22年に取得した土地等は平成28年以降)
・土地等を親子や夫婦などの特殊関係者から取得していない
・相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済および所有権移転外リース取引により取得した土地等ではない
・収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど、譲渡した土地等に対して他の譲渡所得の特例を適用していない
「特殊関係者」には、生計を一にする親族や内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などが含まれ、特殊関係者に該当するかの判定は譲渡資産を取得した時です。
「生計を一にしているもの」の判断基準は、所得税基本通達2-47(生計を一にするの意義)と同じです。
特例を適用する際に提出する書類
「特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」を適用する際は、確定申告書に次の書類を添えて提出してください。
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
・譲渡した土地等が、平成21年または平成22年に取得されたものであることを明らかにする書類
取得時期を明らかにする書類としては、土地等の登記事項証明書や土地等を取得したときの売買契約書の写しなどがあります。
土地の登記事項証明書については、「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」に、不動産番号を記載することで添付を省略できます。
法人が譲渡した場合も1,000万円特別控除は適用可能
法人税にも所得税と同様、平成21年または平成22年に取得した土地等を譲渡した際に適用できる、「特定の長期所有土地等の所得の特別控除(措法65条の5の2)」の特例制度が用意されています。
特定の長期所有土地等の所得の特別控除の概要
「特定の長期所有土地等の所得の特別控除」は、法人が長期所有していた土地等を譲渡した場合、譲渡利益金額のうち一定の金額を譲渡日を含む事業年度において、損金の額に算入することができる制度です。
損金算入限度額は、譲渡利益に相当する額と1,000万円とのいずれか低い金額です。
法人が長期所有土地等の譲渡をした日の属する事業年度のうち、同一の年に属する期間中に譲渡した土地等のいずれかについて、特定資産の買換えの場合の圧縮記帳等の規定を適用していた場合、本特例を受けることはできません。
また、清算中の法人についても本特例は適用できませんのでご注意ください。
特例対象地の範囲
特例の対象となる土地等は、法人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に取得をした国内にある土地または土地の上に存する権利(棚卸資産を除く)で、取得をした日の翌日から譲渡をした日の属する年の1月1日までの期間が5年を超えるものです。
ただし、次に掲げる土地等は特例の適用対象外となります。
・その法人と特殊関係にある個人・法人からの取得
・合併、分割、贈与、交換、出資または平成22年9月30日以前に行われた適格事後設立もしくは、平成22年10月1日以後に行われる適格現物分配による取得
・所有権移転外リース取引または代物弁済による取得