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居住用の宅地等でも小規模宅地等の特例が適用できないケースを解説

被相続人が所有していた土地が居住用として供されていた場合、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。

しかし、自宅の敷地を相続したとしても、小規模宅地等の特例が受けられないケースもあるのでご注意ください。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

限度面積を超えた部分は小規模宅地等の特例の対象外

小規模宅地等の特例は、利用区分によって限度面積が違います。

特定居住用宅地等と特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等を適用する場合、それぞれの限度面積まで特例を適用できます。

一方、貸付事業用宅地等を適用する際は、小規模宅地等の特例を適用する土地全体で限度面積を計算しなければならず、限度面積を超えた部分は要件を満たしていたとしても特例は受けられません。

<貸付事業用宅地等を適用しない場合の計算式>

種類
①特定居住用宅地等
②特定事業用宅地等
③特定同族会社事業用宅地等

限度面積の計算式
①≦330㎡
(②+③)≦400㎡
※限度面積は合計730㎡

<貸付事業用宅地等を適用する場合の計算式>

種類
①特定居住用宅地等
②特定事業用宅地等
③特定同族会社事業用宅地等
④貸付事業用宅地等

限度面積の計算式
①×200/330 +(②+③)×200/400+④≦200㎡

特定居住用宅地等の適用要件を満たさない宅地等

次に該当する宅地等は、居住用として供されていたとしても特定居住用宅地等は適用できません。

同居親族がいるのに別居親族が土地を相続した場合

特定居住用宅地等は、同居親族が相続発生後も被相続人の所有していた自宅に居住できるように配慮した制度であるため、基本的に同居親族を適用対象者としています。

そのため同居親族がいる場合においては、配偶者を除く別居親族が自宅の敷地を引き継いだとしても特例を受けることはできません。

別居親族が特定居住用宅地等を適用できるのは、相続開始直前において被相続人の配偶者がおらず、被相続人が自宅に1人で住んでいたケースに限られます。

土地を相続した別居親族が、相続開始前3年以内に日本国内に自身または配偶者、三親等内の親族や自身と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住していた場合も、適用対象から除かれます。

なお、配偶者は特例対象地を取得するだけで適用要件を満たすことになるため、仮に被相続人と別居していたとしても、特定居住用宅地等は適用可能です。

複数の居住用の宅地等に適用することはできない

被相続人が複数の物件を居住用として利用していたとしても、特定居住用宅地等を適用できる土地は1か所のみです。

2か所の家屋を居住用として利用していた場合、生活の拠点となっていた場所を自宅とし、それ以外の場所にある家屋の敷地は特定居住用宅地等の対象外となります。

被相続人等が生活の拠点を置いていたかどうかの判断は、被相続人等の日常生活の状況、その建物への入居目的、その建物の構造および設備の状況、生活の拠点となるべき他の建物の有無などを総合勘案して判定します。

下記に該当するような建物は、生活の拠点を置いていた建物ではないと判断されるため、その敷地に対して特定居住用宅地等は適用できません。

<特定居住用宅地等の対象外となる建物>

・自宅を建築する期間中だけ居住していた仮住まい
・他に生活の拠点と認められる建物がある場合において、小規模宅地等の特例の適用を適用することのみを目的に一時的に入居した建物
・主に趣味や娯楽、保養として利用する目的の建物

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