平成19年度税制改正において、短期売買商品等の譲渡損益および時価評価損益の益金または損金算入制度が創設され、平成31年度税制改正では暗号資産(仮想通貨)に関連した法人税の課税関係が整備されました。
本記事では、短期売買商品等の譲渡損益および、時価評価損益の計算方法について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
短期売買商品等とは
短期売買商品等は、短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的(短期売買目的)で取得した資産(有価証券を除く)および、暗号資産をいいます。
暗号資産はビットコインなど、資金決済に関する法律第2条14項(定義)に規定する暗号資産の仮想通貨を指します。
①金・銀・白金その他の資産のうち、短期売買目的で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的で取得したもの(専担者売買商品)
②金・銀・白金その他の資産のうち、取得日において一定の方法で帳簿書類に短期売買目的で取得した旨を記載したもの(専担者売買商品を除く)
③適格合併・適格分割・適格現物出資・適格現物分配により、被合併法人・分割法人・現物出資法人・現物分配法人(被合併法人等)から移転を受けた資産のうち、その移転の直前に被合併法人等において①または②に掲げる資産とされていたもの
短期売買商品等の譲渡損益の益金または損金の算入方法
短期売買商品等の譲渡損益の計上時期には原則と例外があり、帳簿価額の算定方法にも種類があります。
譲渡損益の計上時期
法人が短期売買商品等を譲渡した場合、譲渡損益は譲渡契約日の属する事業年度の所得金額において、益金の額または損金の額に算入します。
ただし、継続適用を条件に、譲渡損益の額を短期売買商品等の引渡日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入することも認められています。
譲渡損益の計算方法
譲渡損益として計上する額は、譲渡対価の額から譲渡原価の額を減算した額をいいます。
譲渡対価の額は、短期売買商品等を譲渡した際に生じる通常得るべき対価の額、譲渡原価の額は、法人が選定した一単価当たりの帳簿価額に、譲渡した短期売買商品等の数量を乗じて計算した額です。
帳簿価額の算定方法には移動平均法と総平均法があり、種類(暗号資産は銘柄)を同じくするものごとに算定方法を選定します。
短期売買商品等を取得した際は、取得日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに、算定方法の届出書を提出しなければなりません。
算定方法を変更する際は、変更予定事業年度開始日の前日までに「変更承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。
なお、算定方法を選定しなかった場合は移動平均法を用いて計算することになります。