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減価償却資産の処理方法。財務会計と税務会計の相違点を解説

企業が減価償却資産を取得した場合、減価償却費を経費として計上できますが、税務会計と財務会計では減価償却費の計算のしかたが異なります。

本記事では、減価償却資産の処理方法と、減価償却費を計算する際のポイントについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

減価償却資産・減価償却費とは

減価償却資産は、時の経過によって価値が減少する資産をいい、代表的な減価償却資産としては、建物や機械装置、車両運搬具などがあります。

事業に関連する支出は原則経費として計上できますが、減価償却資産を取得する際に生じた費用は、取得時点で全額を経費にするのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたって分割して経費計上しなければなりません。

減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって、各年分の必要経費として配分する方法を減価償却といい、減価償却資産ごとの使用可能期間は法定耐用年数として定められています。

法人税法では、事業用として利用している減価償却資産の減価償却費を損金(経費)として計上することが認められています。また棚卸資産や有価証券については減価償却資産には含まれません。

固定資産と減価償却資産の違い

固定資産は、企業が継続的に使用・保有することを目的として取得した資産をいい、固定資産の特徴や性質に応じて3種類に区分されます

<固定資産の種類>
(区分)
有形固定資産
(主な資産)
土地、建物、機械設備、パソコン、自動車など

(区分)
無形固定資産
(主な資産)
ソフトウェア、営業権、特許権など

(区分)
投資その他の資産
(主な資産)
投資有価証券、長期貸付金など

減価償却資産も固定資産の一つですが、時の経過によって価値が減少しない資産は減価償却資産には該当しません

たとえば、土地には経年劣化がありませんし、古美術品や骨とう品についても、時が経過することで価値は減少しないため、減価償却資産の対象から除かれます。※ただし税制改正により2015年以降に取得した取得価額が100万円未満の美術品は原則として減価償却が可能です。

財務会計と税務会計の減価償却費の考え方

財務会計では、事前に企業の使用実態に合わせて減価償却資産の耐用年数を設定し、その年数に従って減価償却費を計上することになります。

一方、税務会計では、資産ごとに耐用年数が規定されており、減価償却費の償却方法も資産の種類ごとに定められています。

税法上で種類ごとの耐用年数が決められているのは、任意で耐用年数を設定できてしまうと、節税だけを目的に減価償却費を調整することが可能となってしまうからです。

そのため、定められた耐用年数や償却方法に従わずに減価償却費を計算してしまうと、税務会計上では計算誤りとなるので注意してください。

減価償却資産の計算方法

減価償却資産の代表的な償却方法は、「定額法」と「定率法」の2種類です。

定額法

定額法は、毎年同額の減価償却費を計上する償却方法です。

減価償却資産の取得価額に一定割合を乗じて減価償却費を算出する方法で、建物や建物附属設備、建築物については、定額法で減価償却費を求めます。

<定額法の計算式>
取得価額×定額法の償却率=定額法の償却限度額

定額法の償却率は耐用年数省令別表第八に規定されており、建物など、減価償却資産の種類は同じでも、構造や用途によって耐用年数は異なります。

定率法

定率法は、取得した年に減価償却費を最も多く計上し、時が経つにつれて減価償却費の額が減少する償却方法です。

法人税の計算では、有形減価償却資産などの減価償却費を計算する際に定率法を用います。

<定率法の計算式>
(取得価額 - 既償却額) × 定率法の償却率=定率法の償却限度額

既償却額は前事業年度までに損金計上した償却費の累積額をいい、定率法の償却率は耐用年数省令別表第九、第十に規定されています。

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