親子間や夫婦間などでお金の貸し借りをする際、どのような場合に贈与とみなされ、税金の対象になるのでしょうか?
【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
家族間でお金の貸し借りをする場合もあると思いますが、この時、注意したいのは、貸し借りしたお金が「知らないうちに税金の対象」になってしまうことです。
家族から借りただけのお金に税金がかかるとしたら…これは、たまったものではありません。
そうしたことが起こらないよう、「贈与」についての知識を学びましょう。
目次
借りたお金が税金の対象になるケースとは?
親子間や夫婦間などでお金のやりとりをする場合、「ちょっとした額」を「一時的に」借りるのは問題ありません。
しかし、まとまった額を借りれば「贈与」とみなされ、贈与税の対象となる可能性が出てきます。
贈与とは、お互いが同意のうえで生前の間に財産を贈ることです。
年間110万円を超えた分については、贈与税の対象になります。
問題は、贈与をしているつもりはないのに、家族間でお金を貸し借りしていたら贈与扱いになってしまった、というケースがあることです。
例えば、借金の連帯保証人になり、名義人が失踪したため、支払いの義務が発生し、返済すために何千万円も親から借りた場合。
あるいは、会社の経営者が運転資金にするため、まとまったお金を妻の貯蓄から借りた場合。
このようなケースは、贈与とみなされてしまう可能性があります。
また、マイホームの購入資金を借りた場合も、同様に贈与とみなされる可能性があります。
つまり、理由はどうであれ、家族間で多額のお金が動けば「贈与」とみなされてしまう可能性があるわけです。
このことは、しっかり認識しておきましょう。
お金の貸し借りを贈与にしないためのポイント
だからといって、家族間でお金の貸し借りが一切できないとすれば、これはこれで不都合です。
家族間で贈与にならない形でお金の貸し借りをするには、(第三者の目から見て)「贈与ではなく返済を前提に借りたこと」を明確にするのが大切です。
有効といわれているポイントは次の通りです。
①貸借の契約書を作成する
②借りた額を明記する
③利率・返済期限を設定する
これらを見てわかる通り、ようは通常のお金を貸し借りの時に行なう行為をすればいいのです。
ただし、それぞれの項目で注意点があります。
①貸借の契約書を作成する場合
実際に返済することが大切です。
いくら契約書はあっても、返済がされていないのでは、第三者から見た時に事実上の贈与になってしまいます。
毎月の返済日などを設定し、返済をきちんと実行しましょう。
②借りた額を明記する場合
借りる側の収入状況を考えて、返済が不可能な額を設定すると否認される恐れがあります。
極端な例では、収入がほとんどない人に数億円を貸せば不自然さを疑われても仕方ありません。
③利率・返済期限を設定する場合
あまりに長い返済期限は不自然と捉えられる可能性が出てきます。
返済記録を残しておくことも重要
親子間、夫婦間などでお金の貸し借りをする時は「客観的な返済記録を残すこと」も大事です。
家族間であれば現金で返済をやりとりしたくなるところですが、客観的な証拠を残すという意味では、銀行口座への振込が望ましいでしょう。
ここまで、