相続税の対象となる財産は、基本的に亡くなった人(被相続人)の財産すべてです。
しかし財産の性質上、相続税を課すのにふさわしくない財産については、非課税財産として相続税の対象から除かれます。
本記事では、非課税財産の対象となる財産の種類と、相続税の計算をする上で注意すべき点について解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
目次
相続税の非課税財産の種類
相続税の非課税財産には、特例制度を利用して非課税になるものと、財産自体が非課税になるものがあります。
特例を適用して非課税になる財産は、寄附や公益を目的とする事業に使用することが前提の財産に限定されます。
一方、財産自体が非課税になるものについては、特別な手続きは不要です。
また下記の財産は、通常の家庭でも保有している可能性がある財産ですので、種類ごとにご説明します。
<相続税の非課税対象となる主な財産>
・お墓、祭具等
・死亡保険金(非課税控除額以内)
・死亡退職金(非課税控除額以内)
・弔慰金
・香典
お墓・祭具等に該当する財産
相続税の非課税財産に該当するお墓には、墓石やお墓の区画として利用している墓所など、お墓を維持するために必要な土地や建物も含みます。
祭具とは、祖先などをまつる祭祀(さいし)に使用する道具で、日常礼拝で用いられる仏壇なども非課税財産の対象です。
<祭具等に該当する財産>
・仏壇
・仏像
・神棚
・庭内神し
・位牌
なお仏像など日常礼拝に使用する財産でも、骨とう品や投資目的(金で作られた仏像など)の財産は相続税の課税財産となりますので、ご注意ください。
非課税対象となる死亡保険金の控除額の計算方法
死亡保険金とは、保険料を被相続人(亡くなった人)が負担し、死亡が原因により支払われた保険金です。
死亡保険金には、専用の非課税控除額が設けられており、非課税控除額以内の金額であれば相続税は課税されません。
また非課税控除額の金額は、相続人の人数が多いほど増額するため、各家庭で控除できる金額は異なります。
<死亡保険金の非課税控除額の計算式>
500万円 × 法定相続人の人数 = 非課税控除額
なお非課税控除額が適用できるのは法定相続人のみであり、相続人以外の人が死亡保険金を取得しても、非課税控除は適用できません。
非課税対象となる死亡退職金の控除額の計算方法
死亡退職金とは、死亡を理由として支給された退職金です。
死亡退職金に該当するものには、功労金など実質的に退職手当として支給された金品も含まれます。
また死亡退職金には死亡保険金と同様、専用の非課税控除額が設けられており、非課税控除額以内の死亡退職金は、全額非課税です。
<死亡退職金の非課税控除額の計算式>
500万円 × 法定相続人の人数 = 非課税控除額
相続開始前に退職して受け取った退職金は、死亡退職金には該当しません。退職所得として所得税・住民税の課税対象になります。
また相続開始前に退職し、相続開始時点でまだ支給されていなかった退職金は、未収金として相続財産に計上しますが、死亡退職金には該当しませんのでご注意ください。
勤め先から支給される弔慰金
弔慰金とは、亡くなった人の親族に対して支払われる金品などをいいます。
雇用主から支払われる弔慰金に関しては、亡くなった人が業務上の死亡かどうかで非課税対象となる限度額が異なります。
<非課税対象となる弔慰金の限度額>
・業務上の死亡
⇒賞与以外の普通給与の3年分
・業務上以外の死亡
⇒賞与以外の普通給与の半年分
非課税限度額以内の弔慰金については、相続税は課させません。
また非課税控除額を超える弔慰金については、退職手当等に該当するものとして取り扱うため、死亡退職金の非課税控除の適用対象です。
常識的な範囲内の香典は非課税
香典は、亡くなった人の霊前に供える目的の金品をいいます。
通常、金品などの財産を無償で受け取った場合には、贈与税の課税対象です。
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