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マイホームの売却損失が発生した際に適用できる譲渡所得の特例制度

個人が不動産を売却し利益が出た場合、譲渡所得の課税対象です。

また不動産の譲渡損失は基本的に他の所得と損益通算することはできませんが、マイホームを売却した場合に限り、一定の条件を満たすことで譲渡損失を他の所得と通算することができます。

本記事では、マイホームの譲渡損失が発生した際に適用できる譲渡所得の特例制度について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

不動産の譲渡損失が生じた際に適用できる特例制度

同年中に複数の不動産を売却した場合、売却利益と売却損失を合算して譲渡所得金額を算出します。

ただ売却した年が異なると損益通算はできませんので、2つ以上の不動産を処分する際は、売却するタイミングが重要です。

不動産の譲渡損失は原則として、他の所得との損益通算が認められていませんが、以下の特例要件を適用できる場合に限り、他の所得との損益通算が可能になります。

<譲渡損失の損益通算の特例>
● 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
(租税特別措置法41条の5)
● 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
(租税特別措置法41条の5の2)

譲渡損失の特例を適用して他の所得と損益通算を行った際、控除しきれない損失があるときは、損失金額を最大3年間繰り越すことができます。

損益通算や繰越控除の適用で合計所得金額が少なくなれば、所得税だけでなく住民税の節税効果も得られますので、居住用不動産を売却した際は特例を適用できるか確認してください。

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、「マイホームの譲渡損失の特例」)は、自宅を買い替えた際に適用できる特例制度です。

制度の概要

マイホームの譲渡損失の特例は、新しいマイホームを住宅ローン付きで購入したときに適用できます。

譲渡損失の額(譲渡損失の額と譲渡価額の合計額はローン残高を上回る場合には、その上回る金額の控除した金額)が損益通算の対象となり、控除しきれなかった譲渡損失については、譲渡の年の翌年以後3年間繰り越して控除することが可能です。

またマイホームの譲渡損失の特例は、住宅ローン控除と併用して適用することが認められています。

適用要件

マイホームの譲渡損失の特例は、マイホームを買い替える場合でも、新居宅に住宅ローンが設定されていなければ適用できません。

新居宅を購入するタイミングも指定されていますので、特例を受ける際は旧居宅の売却と新居宅の購入を同時に進める必要があります。

また不動産の譲渡所得における「長期譲渡所得」とは、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超える土地や建物の譲渡による所得です。

売却した時点で所有期間が5年を超えていても、その年の1月1日時点で所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」に該当するのでご注意ください。

<マイホームの譲渡損失の特例の適用要件>
①売却したマイホームが日本国内にあり、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡している
②売却したマイホームの所有期間が譲渡した年の1月1日において5年を超えている
③所有者本人が売却物件に住んでいた
④第三者に旧居宅(譲渡資産)を売却した
⑤新居宅の床面積が50㎡以上であること
⑥新居宅を取得した年の翌年12月31日までの間に居住用として使用している
⑦新居宅を取得した年の12月31日において、新居宅に償還期間10年以上の住宅ローンが設定されている

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、「特定居住用財産の特例」)は、マイホームを買い換えない場合でも適用できる譲渡損失の特例制度です。

制度の概要

特定居住用財産の特例は、マイホームをローンが残っている状態で売却した際、売却金額よりもローン残高の方が大きい場合に適用できます。

マイホームの譲渡損失の特例は、マイホームを買い換えることを前提としていますが、特定居住用財産の特例はマイホームの買い替えがなくても適用できるのが特徴です。

適用要件

特定居住用財産の特例が適用できるのは、不動産の売却金額をローンの返済に充てたとしても、ローン残高が残っているケースに限られます。

既にローン返済が完了している場合や、不動産の売却金額でローンを完済できるときは特例を適用できません。

<特定居住用財産の特例の適用要件>
①売却したマイホームが日本国内にあり、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡している
②譲渡契約日の前日時点で、売却した居宅の住宅ローン(契約において償還期間が10年以上のもの)が残っている
③住宅ローン残高が譲渡価額を超えている
④売却したマイホームの所有期間が譲渡した年の1月1日において5年を超えている
⑤所有者本人が売却物件に住んでいた
⑥第三者に居宅(譲渡資産)を売却した
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