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マンション評価の見直しによるタワマン節税への影響

相続財産を不動産に替えることにより、相続税評価額を圧縮させる節税方法は知られていますが、その中でも特に節税効果が高いのが、タワーマンションを利用した「タワマン節税」です。

ただ国税当局はタワマン節税を問題視しており、税制改正でマンションの相続税評価額の評価方法が変わる可能性が出てきていますので、問題視しているポイントとマンション評価が変更する見通しについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

マンション取得が相続税の節税になる理由

マンションの相続税評価額は、区分所有している建物と敷地権の価額を合計して算出します。

本記事の執筆時点におけるマンションの評価方法は、次の通りです。

<マンションの相続税評価の方法>
①+②=マンションの相続税評価額
・建物の固定資産税評価額 × 1.0=区分所有建物の価額(①)
・敷地全体の価額 × 敷地権割合=敷地の価額(②)

マンションは建築年数よりも立地が重要視されるため、建築年数が経過しているマンションでも立地条件が良ければ市場価値は高くなります。

一方で、建物の相続税評価額は固定資産税評価額を基準に計算することから、市場価値の高い建物でも建物が古ければ、相続税評価額は低くなります。

土地の相続税評価額は1㎡当たりの評価額に面積を乗じて算出するので、面積の広さが相続税評価額に影響します。

マンションの敷地権割合は所有者が多いマンションほど低くなるため、一室あたりに割り当てられる面積が小さく、土地の相続税評価額は市場価値よりも低くなることがほとんどです。

そのためマンションを取得した場合、相続税評価額は時価の8割以下になることも珍しくなく、高層マンション(タワーマンション)においては、相続税評価額が時価の6割以下になることもあります。

国税当局がタワマン節税を問題視している理由

相続税法では、相続財産の価値は相続開始時点の時価としていますので、相続税を計算する際はすべての相続財産の時価を確認しなければなりません。

ただ相続財産の種類が多い相続ほど、相続税の申告書を作成する際の負担が重くなることから、財産評価基本通達で財産の種類ごとに評価方法が定められています。

マンションの評価方法は先述した通りですが、国税当局はマンションの「相続税評価額」と「時価」の価額が著しく乖離している現状を問題視しています。

一般的なマンションであれば、評価方法が否認される可能性は低いです。

しかし時価と乖離しているタワーマンションの相続税評価額は、相続税を計算する上での適正な価額ではないとして、国税当局は相続税評価額による計算を否認し、鑑定価格等による時価で評価し直して課税処分を行った事例が発生しています。

国税当局がタワーマンションの相続税評価額を否認した事例は裁判に発展しましたが、令和4年4月19日の最高裁判決で国側が勝訴しており、タワマン節税が否認される動きが加速することが懸念されます。

令和4年4月19日の最高裁判決のポイント

令和4年4月19日の最高裁判決は、財産評価基本通達6項の適用有無が焦点となったケースです。

財産評価基本通達6項(この通達の定めにより難い場合の評価)は、通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価するものです。

裁判の当事者である納税者は、一般的なマンション評価の方法で相続税評価額を算出しましたが、国税当局は本通達6項の規定に基づき評価するのが適切であると判断し、更正処分を行いました。

最高裁は国税当局が提示した評価方法を認めたため、タワーマンションを活用した相続税の節税が否認された形になります。

しかし、本件は納税者が相続税の負担を意図的に減額・免れるためにマンションの購入および借入れが行われており、特殊性が高い事例です。

そのため、一般的な規模のマンションや、居住用や賃貸用の目的として購入したマンションに対し、本通達6項の規定を一様に適用することを認めたわけではありません。

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