中小企業にとってデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入は、競争力を維持し、成長を続けるために欠かせない要素です。
DXは企業や組織でデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革することをいい、経理の効率化など、DX導入による効果は多岐にわたります。
一方で、DXを導入しただけでは、それらの恩恵を十分には受けられませんので、今回は中小企業がDXを導入する際に気を付けるべきポイントについて解説します。
【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰
中小企業もDXの導入が不可欠である理由
DXは大手企業だけでなく、国も積極的に導入していますし、中小企業においても、次の理由からDXの導入を検討する必要があります。
競争力の強化
現代のビジネス環境では技術が急速に進歩しており、競争相手が新しい技術を活用して業務効率を改善している場合、対応が遅れるだけで競争力が著しく低下する可能性があります。
デジタル技術を取り入れれば、業務プロセスの自動化や効率化を実現できますし、コスト削減や生産性を向上させることで競争相手に対抗できます。
顧客満足度の向上
顧客のニーズは多様化が進んでいるため、中小企業においても迅速かつ柔軟に対応することが求められています。
デジタル技術にはIoTやAI(人工知能)などありますが、それらの技術を活用することで、中小企業でも顧客データの分析やマーケティングの最適化が可能となり、よりパーソナライズされたサービスを提供できるようになります。
労働者不足の解消
日本では労働力不足が深刻な課題となっていますが、問題の解決方法としてDXの活用も選択肢です。
現在アナログで行っている作業を自動化すれば、労働者の負担を軽減しつつ、必要な業務に労働力を集中させることができます。
また、リモートワークが可能となれば、労働条件や地理的な制約を受けずに人材を確保できる点もDXがもたらす利点の一つです。
中小企業がDX導入時に注意すべきポイント
中小企業がDXを導入する際は、次のポイントに注意してください。
データのセキュリティ管理
DXを導入する場合、情報管理を徹底しなければなりません。
デジタル化した情報はクラウド上でも管理することになりますが、セキュリティが脆弱な場合、情報が大量に漏洩するリスクが生じます。
顧客情報や経理に関するデータは特に機密性が高いため、適切なセキュリティ対策の実施は不可欠です。
情報漏洩を防ぐためには、システムのセキュリティを定期的にチェックし、脆弱性を早期に発見・修正する必要があります。
また、機密情報が漏洩した場合に備え、読み取られないようにするためのデータ暗号化もリスクヘッジとして重要です。
セキュリティリスクは外部からの攻撃だけでなく、内部から発生することも想定されます。
たとえば、クラウド型会計ソフトを利用すれば、リモートでも経理作業を行えるようになりますが、利便性が向上する分だけ情報が漏洩するリスクが高まります。
従業員の不必要なアクセスが原因で情報が流出することもありますので、従業員ごとにアクセス権限を設定するなどの対策も必要です。