協力会社と共謀して接待交際費等を捻出した不正会計事例





不正行為への意識の低さなどから、協力会社と共謀して不正会計を行なった事例があれば教えてください。

【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
http://www.eguro-cpa.com/


企業では、営業拡充や既存の取引関係の強化から交際費が発生します。
また、従業員同士のコミュニケーションをはかり、社内を活性化するために慰労会等が開催されることがあるでしょう。

そこで今回は、交際費や社内向け慰労会費用の捻出のために行なわれた不正会計を紹介します。

今回の不正実行会社、じつは数年前に会社更生手続きの申し立てを行なっていました。
更生手続きが終結後は、ある会社が同社株式を取得し、その子会社になりました。

会社更生手続き申し立て時において、同社では営業交際費を会社経費とすることができなくなりましたが、終結後は営業接待費について会社経費として使うことができるようになりました。
ただ、5万円を超える場合は本社決裁が必要で、そもそも交際費が必要な場合は個別承認を行なうなど、その使用は限定的であり、手続きが煩雑ともいえました。

そのような背景から、長期的かつ属人的な関係や付き合いがある協力会社と社員が協業のうえ、キックバックをして会社のお金を不正に流用することが生じてしまったようです。

この会社の不正取引のパターンには次のようなものがありました。

①協力会社に対して架空又は水増し発注を行ない、その架空又は水増し発注額の一部または全部をキックバックとして受け取る行為
②協力会社である設計事務所に対し設計業務の架空発注を行ない、その架空発注額等をプールさせて協力会社への支払いに充当する行為
③工場現場で発生したスクラップ等の売却代金・自動販売機の販売手数料の着服
④PC工法の販売促進を目的とした営業代理等を行なう会社に対する販売促進料を、当該会社又は同会社が指定する別会社に対し「施工図代」又は「設計外注費」名目で支払う行為
⑤工事原価の付け替え行為


では、実際にどのように不正を働いたのでしょうか?

たとえば、①の事例では対象会社の従業員が、協力会社と共謀して下請代金の水増し又は架空発注を行ない、対象会社から当該協力会社へ支払われた水増し金額の一部または全部をキックバックとして受領していました。

そして、このキックバックを受けたお金を元請会社や設計事務所への接待交際費又は社内懇親会費用として使っていたようです。

同社は会社更生法申し立て以降、交際費の制限があり、案件受注に向けた営業が十分にできませんでした。

そのため、協力会社への外注費水増しや協力会社からのキックバックで交際費を捻出したり、社内の懇親会費に費消したりしていたということですが、これらはすべて現場で個別に行われていました。

不正は東北・東京・大阪・福岡の各支店で発生していました。

経営者が、このような不正行為に関与していた、あるいは不正の存在を認識していたという証拠は発見されず、各支店の現場担当者が協力会社と共謀・癒着して行なわれていたということです。

なお、支店によっては現場設置の自動販売機手数料を着服したり、協力会社に領収書を買い取ってもらったり、協力会社から社内懇親会費用のカンパを受けたりしていた事例もあったようです。

このような現場レベルの不正について従業員はどう思っていたのか、調査報告書から抜粋します。

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現場従業員のレベルでは、本件不正行為について、会社の営業あるいは現場慰労のための必要経費捻出が目的であって、個人的な利益を得る目的ではないことを理由に正当化していたことが認められ、そもそも本件不正行為が悪いものであるという意識が低かった
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一方、経営者は従業員を次のように見ていたということです。

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経営者は、現場担当者によって水増し・キックバック等の不正行為が行われる可能性があることについて、自身の経験上そもそも認識しておらず、また、会社更生手続き開始申し立て及びそれに伴う人員削減によって不正を行うような従業員は残っていない、との性善説に立った認識を有していた。
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経営者としては性善説に立ちたいところですが、次の点についてしっかり従業員をマネージメントし、社内体制を構築していく必要があります。

 

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