副業・兼業に関するガイドラインについて、「健康管理」についてはどのようなことに留意しなければならないのでしょうか?
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
令和2年9月に改定された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(新ガイドライン)において、「健康管理」については次のような内容が記されています。
- 1.使用者は、労働安全衛生法第66条等に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックやこれらの結果に基づく事後措置等(健康確保措置)を実施しなければならない。
→ 健康診断や面接指導、ストレスチェックの実施は労働安全衛生法でもともと規定されているものであり、ガイドラインの改定により実施が義務化されたものではありません。
よって、改めてこれらの実施や措置の重要性を確認したものと思われます。
- 2.健康確保措置の実施対象者の選定に当たっては、副業・兼業先における労働時間の通算をすることとはされていない。
ただし、使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、 - ① 原則として副業・兼業先の使用者との情報交換により、それが難しい場合は、労働者からの申告により把握し、自らの事業場における労働時間と通算した労働時間に基づき、健康確保措置を実施することが適当である。
- ② 他社との間で、労働の状況等の情報交換を行い、それに応じた健康確保措置の内容に関する協議を行うことが適当である。
→ 使用者(会社)自らが副業・兼業を指示(=業務命令)することは稀かと思われますが、もし指示により副業・兼業を行わせる場合には「他社との情報交換や協議を行うことが適当」とされているため注意が必要です。
- 3.使用者が副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えること、必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合いを通じ、副業・兼業を行う者の健康確保に資する措置を実施することが適当である。
→ 労働者が相談しやすい体制を整備する等して、過重労働による健康障害を防止するようにしなければなりません。
「法律を超える健康確保措置」とは、