ある大手企業が就業時間中は全面禁煙とし、在宅勤務中の社員も対象とするという記事を読みました。
本社や支店等で勤務している場合はともかく、在宅勤務中の社員についても全面禁煙とすることに問題はないのでしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
大手証券会社の野村ホールディングスは、「就業時間内における全面禁煙の実施について」というプレスリリースを2021年9月1日に発表しました。
それによると同社は健康経営を推進しており、「受動喫煙の防止」や「働きやすい環境づくり」「社員の健康保持・増進」という観点から同年10月より就業時間内においては全面禁煙とするとのことです。
また、同年12月末までにはグループが管理している喫煙室も全て廃止するそうです。
そもそも「健康経営」とは、「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
「企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。」(経済産業省ホームページより)とされています。
大手企業の中にはCHO(最高健康責任者)を選任したり、歩数や心拍数等のデータを確認することのできるウェアラブル端末を社員へ支給しているところもあります。
2020年4月に改正健康増進法が施行したこともあって、このように健康経営に取り組む企業は徐々に増えてきていますが、ご質問のように在宅勤務者に対し就業時間中は禁煙とすることは可能なのでしょうか。
社員には就業時間中の「職務専念義務」が課せられています。
会社であっても自宅であっても就業時間中はそこが職場となりますので、在宅勤務者においても喫煙を禁止することは可能です。
ただし、課題も残ります。