契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

前払退職金制度のメリット・デメリット

先日のニュースによると、ある大手企業が給与を大幅にアップさせる方針を明らかにし、その中で新たに前払い退職金制度を導入するとのことでした。退職金の前払いを選択すると月給が約30%増える見込みだそうですが、前払い退職金制度のデメリットはないのでしょうか。

【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

前払い退職金制度は、その名のとおり、本来であれば退職時に支給される退職金を月額給与や賞与に上乗せする形で支払うものであり、在職中に受け取れるという点に特徴があります。

ずいぶん前のことになりますが、当時の松下電器産業(現:パナソニック)が前払い退職金制度を導入することを発表し、ニュースで大きく取り上げられたのを記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

前払い退職金制度を導入する場合、前払いにするのか、それとも従来どおり退職時に退職金として受け取るのかを社員が選択できるように制度設計するのが一般的です。ご質問の大手企業とは㈱セガだと思われ、セガも選択制とするようです。

企業における前払い退職金制度導入のメリットには、次のようなものが挙げられます。

1.退職給付引当金を計上する必要がないため、財務上のメリットがある。

2.セガのケースのように選択すると給与がアップするため、社員のモチベーションがあがる。また、採用競争力が高まる可能性がある。

一方、デメリットには、次のようなものが考えられます。

1.給与がアップするため、社会保険料や雇用保険料の会社負担分が増加する。
(退職金であれば税法上「退職所得」となるところ、前払い退職金は「給与所得」となるため)

2.就業規則の懲戒に、「懲戒解雇に該当する場合、退職金は不支給とする」というような規定があったとしても、実質適用できなくなる。

社員にとってのメリットには、次のようなものが挙げられます。

1.将来の転職や独立を考えている場合や結婚等、若いうちから柔軟なライフプランを立てることができる。

2.給与のアップにより社会保険料等の負担は増えるが、将来受け取れる年金が増える可能性がある。

3.より多くのふるさと納税を行える可能性がある。

経営に役立つ無料セミナー・無料資料請求
PREVNEXT