先日、育児休業中で本来ならもうすぐ復職する予定の社員から、「復職した日から残っている有給を全部消化してから退職したい」という申し出がありました。
社内でも常識的に考えられないという話になっていますが、このような申し出であっても認めなければならないものなのでしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
育児休業制度は、育児休業取得後に職場に復帰することが前提の制度となっています。ところが、育児休業をすべて取得した上で復職することなく退職してしまう方が一定数いて、問題視はされているものの、現行だと違法にはなりません。
育児休業中に支給される育児休業給付についても、育児休業終了後に職場復帰することを前提とした給付金であり、「育児休業の当初からすでに退職を予定しているのであれば、育児休業給付の支給対象となりません」(厚生労働省ホームページのQ&Aより)。
しかし、当初は予定していなくても、その後に事情が変更した等の理由によりすべての給付金を受給後に退職したとしても法的な問題はやはり生じません。
これらは一日も職場に復帰することなく退職した場合の話となりますが、ご質問のように復職はするものの実際の労働をすることなく、残っていた年次有給休暇をすべて消化した後に退職したいという場合、会社側としては次のような疑問を持つかもしれません。