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税務調査で節税策が否認されるケースと指摘されないための対策

節税策を講じても税務調査で否認されれば、追徴課税を支払うことになります。

しかし要点を押さえて適切に行えば、税務調査を受けたとしても節税策が否認されることはありません。

そこで本記事では、税務署に指摘される節税策と、否認されないためのポイントを解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

節税策が税務署に否認される4つのケース

税務署に節税策が否認されるケースは、大きく4つに分類されます。

4種類のいずれかに該当した場合、税務調査で否認される可能性がありますのでご注意ください

法令要件を満たしていない

経費を増やすことで利益を抑え、法人税の納税額を減らすのは節税の基本です。

法人税を計算するうえで会社の支出した金額すべてが経費計上できるわけではなく、法令で損金不算入となっている支出については経費になりませんし、法令要件を満たしていない支出を損金算入していれば税務調査によって否認されます。

また支出の種類によっては、損金算入の上限が設けられているものもあり、接待交際費は法人の規模に応じて損金算入できる限度額が異なります。

なお役員給与は原則として損金不算入ですが、定期同額給与などの要件を満たせば損金算入が可能です。

損金算入時期の誤り

「販売費・一般管理費その他の費用」のうち、減価償却費以外の費用は、事業年度終了の日までに債務が確定しているものを損金として計上できます。

「債務が確定しているもの」とは、別段の定めを除き次の3要件すべてに該当するものをいいます。

<損金算入の3要件>
● 事業年度終了日までに、費用に係る債務が成立している
● 事業年度終了日までに、債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している
● 事業年度終了日までに、その金額を合理的に算定できる

たとえば修繕費の場合、①修繕依頼を行い、②受託業者の修繕が完了し、③修繕にかかった金額の見積りが客観的にできる状況であれば、要件を満たしているため未払金等として経費計上できます。

しかし3要件のいずれかが該当しない支出については、その事業年度の損金に算入することはできませんので、税務調査で否認されてしまいます。

同族会社の行為計算否認規定

法人税法第132条(同族会社等の行為又は計算の否認)では、同族会社は法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがある場合、損金算入が否認されます。

「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」は、客観的・合理的基準により、法人税を減少させる行為または計算が不合理、不自然だと判断されるものです。

一般的に行われる節税策に対し、税務署が同族会社の行為計算否認規定により、損金算入などを否認することは考えにくいです。

ただ税務調査において、不当に法人税の納税額が減少したと判断した場合、節税行為計算を否認できる制度が存在することは認識しておく必要があります。

架空の経費を計上している場合

法律の範囲内で行う節税策は合法ですが、法律を無視して行う節税策は脱税であり、税務調査によって摘発されます。

違法行為による税金対策は真っ先に否認されますし、推奨されるものでもありません。

また脱税は重加算税の支払いや、青色申告の取り消しなどデメリットが大きいため、節税策は法律の範囲内で行うことが大切です。

税務調査で節税策を否認されないためにやるべきこと

法律の規定されている範囲に基づいた支出であれば、税務調査を受けたとしても節税策を否認されることはありません。

役員報酬の支払いは定期同額給与が原則

損金に算入できる役員報酬には、定期同額給与の原則があり、役員報酬が変動すると損金不算入となります。

定期同額給与とは、支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与で、事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものです。

また支払う役員報酬の金額を変更する場合には、事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに改定する必要があります。

接待交際費は規定された範囲内に納める

資本金の額(または出資金の額)が1億円以下の法人の場合、次に該当する部分が損金不算入額となります。

<接待交際費の損金不算入の額>
● 交際費等の額のうち、飲食費等のために要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
● 800万円を超える部分の金額

中小企業であれば、接待交際費を800万円以内に抑えれば全額損金算入できます。

なお従業員の慰安のための旅行等や、1人5,000円以下の飲食費は接待交際費の対象から除かれ、接待交際費の基準に関係なく経費計上が可能です。

飲食費に関する書類を証拠として保全する

飲食費は参加者1人当たり5,000円以下であれば、接待交際費の対象から除かれますが、飲食費に関する内容を書類として残すことが要件となっています。

飲食費の領収書はもちろんのこと、参加者の人数や関係性が確認できるものを書類として保管しないと、接待交際費から除くことはできません。

<証拠として保存する飲食費に関する事項>
● 飲食等が行われた年月日
● 飲食等の参加者の氏名または名称及び参加者との関係性
● 飲食等の参加者の数
● 飲食費の金額と、飲食店等の名称・所在地
● その他飲食等に要した費用であることを明らかにする事項
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