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役員報酬の選択肢。株式報酬の効果と支給する株式の種類

社会全体でコーポレートガバナンスを重要視する傾向にあることから、株式報酬制度を導入する企業が増えています。

株式報酬は現金報酬とは異なる効果が期待できますし、種類によって支給する条件やタイミングは違います。

本記事では、株式報酬の種類と活用するメリットについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

株式報酬と現金報酬の違い

インセンティブ報酬には、現金報酬と株式報酬に2種類が存在します。

現金報酬は一般的な報酬制度であり、支給金額が明確なので、役員や従業員は報酬の価値が下がることを気にすることなく受け取ることができます。

株式報酬は、会社の業績がや株価に連動して株式を支給することになるため、株価が上がる分だけ受け手の報酬額も多くなるのが特徴です。

企業は手持現金がなくても支給できるため、労働意欲を高めつつ、現金を設備投資などに回すことができます。

株式報酬を活用する3つのメリット

株式報酬を導入する際は、現金報酬にはないメリットを理解した上で利用することが大切です。

ガバナンス機能の向上

ガバナンスとは、経営の管理や監督を行う仕組みをいいます。

株式報酬を導入した場合、役員や従業員も1人の株主です。

株主の地位を得れば会社の業績を注視するようになることから、経営の透明性が高まります。

経営の透明性が確保されれば、組織の不正を未然に防ぐことはもちろんのこと、経営者の身勝手な行動を抑制できるため、株主報酬はガバナンス機能を向上させることが期待できます。

役員・従業員の業績向上への意欲を高められる

インセンティブ報酬を支給する条件に、業績指標や達成目標を設定すれば、役員や従業員は報酬を得るために業績を向上させる行動を取るようになります。

企業側からすると、良好な業績は株価上昇につながりますし、報酬で受け取る立場からすると、株価が上がれば実質的に報酬の増額となるため、双方に利があります。

現金支出の抑制

インセンティブ報酬を現金報酬とした場合、支払いのために現金を確保しなければなりません。

企業の経営状態によっては、設備投資などに資金を支払う必要がもありますので、報酬を渡すための現金が不足する懸念もあります。

しかし株式報酬であれば、現金を拠出することなくインセンティブ報酬を支払うことができるため、現金の支出を抑えることができます。

株式報酬の種類

株式報酬は、大きく「事前交付型の株式報酬」と「事後交付型の株式報酬」に区分されます。

事前交付型の株式報酬

事前交付型の株式報酬は、一定期間の譲渡制限が付された現物株式を事前に役員に交付する報酬です。

事前交付型でも種類によって、交付するのが株式・株式購入権利のどちらなのか、権利確定条件交付額は業績・勤務状態のどちらにより決定するのかが違います。

たとえばリストリクテッド・ストック(RS)は、一定期間の継続勤務を条件として、譲渡制限付き株式を事前に交付する仕組みです。

支給条件が継続勤務なので、企業に優秀な人材を引き留めたい場合に活用する株式報酬となっています。

パフォーマンス・シェア(PS)は、事前に譲渡制限付きの株式を交付し、業績目標の達成度に応じて譲渡制限が解除される仕組みです。

業績目標達成の有無が報酬額に連動しますので、労働意欲を向上させるために活用する株式報酬です。

なおRSもPSも、目標を達成できなかった場合には、交付している株式の一部(全部)を没収することができます。

事後交付型の株式報酬

事前交付型の株式報酬は、 現物株式を事後に役員に交付する報酬です。

譲渡制限付株式ユニット(RSU)は、継続勤務などの条件を満たした場合にユニット(ポイント)が付与され、権利確定後に保有しているユニットに応じて株式や現金が付与される制度です。

ポイントに応じて付与する株式・現金を組み合わせることができるため、報酬の仕組みを自由に設計できます。

業績連動型株式ユニット(PSU)は、業績等などの条件を満たした場合にユニット(ポイント)が付与され、一定期間経過後に保有しているユニットに応じて株式が交付される制度です。

業績に連動して報酬額が決定するため、役員等の業務意識向上意欲への効果が高く、付与する報酬は株式と現金を組み合わせることも可能です。

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