契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

退職時に引継ぎをしない社員に賠償を求めることができるか

過去に当社を退職した社員の中には、就業規則に規定している業務引き継ぎをきちんと行わないまま、残っている有給休暇を全部消化して退職した者もいます。

引き継ぎが不十分のため、当社の業務運営上支障が生じた場合、損害賠償請求することは可能でしょうか。

【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘

社員の異動や退職に伴う「業務引き継ぎ」については、就業規則に規定を明記しているかと思います。

退職であれば次のような内容となっているでしょう。

「退職することが確定した者については、退職する日までに業務の引き継ぎを完了させなければならない。業務の引き継ぎが不十分であり、当社の業務に支障をきたした場合は、懲戒処分とする場合がある」

もし、引き継ぎを全くしなかったり、行っても不十分な場合、かつ、会社の業務に支障をきたしたことが明らかであれば、この就業規則の規定により懲戒処分にすることは可能です。

ただし、懲戒処分とするのであれば当該社員の在職中に行う必要があります。

では、在職中に懲戒処分することができず、退職後に引き継ぎが行われなかったことにより、損害賠償請求することはできるのでしょうか。

過去の裁判例で、躁うつ病になった社員がそれを理由に退職したものの、実は転職をしていたことが分かり、会社が社員の退職理由は虚偽で、業務の引き継ぎを行わずに退職したとして約1300万円の損害賠償請求を行ったというものがあります。

PREVNEXT

関連記事

税理士第33条の2「書面添付制度」の効果と利用すべきケース

税務調査対策には様々な方法がありますが、書面添付制度を利用するのも選択肢の一つです。 税務署は、書面添付制度を適用している申告書を安易に調査す...

相続税対策で非上場株式評価額を引き下げるために知っておくべき事項

相続が発生した際、上場株式は売却して相続税の納税資金に充てることが可能です。 それに対し非上場株式は上場株式のように売却することはできませんし、事...

会社が選任する産業医の探し方、選び方とは?

当社は従業員60名ほどの会社です。先日、労働基準監督署の調査を受け、「産業医を選任すること」という内容が記載された是正勧告を受けました。具体的にはどのよ...