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適格組織再編で特定資産譲渡等損失の損金算入が制限されるケース

適格組織再編の要件を満たしている場合、組織再編成する際に資産を時価ではなく簿価で移転することができます。

対象資産に含み損があるときはそれを利用して節税することも可能ですが、適格組織再編時の損金算入は制限されているのでご注意ください。

本記事では、「特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入」の制度概要と、該当するケースについて解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の概要

「特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入(法人税法第62条の7)」は、法人と支配関係法人との間で特定適格組織再編成等が行われた際、その法人の対象期間において生ずる特定資産譲渡等損失額を、各事業年度の損金の額に算入しないとする規定です。

平成13年度税制改正で組織再編税制が整備され、適格組織再編成により移転する資産および負債は、適格組織再編成に係る移転前の法人の簿価を引き継ぎます。

簿価による移転は組織再編時に譲渡益が発生しないだけでなく、損失を繰り延べることができるため、移転後に資産を売却して含み損を節税に用いることが可能です。

一方で、節税目的による組織再編は組織再編税制の目的から外れるため、租税回避行為を防止する観点から、特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度が創設されました。

特定資産譲渡等損失が損金不算入となるケース

特定資産譲渡等損失の損金算入制限は、次の要件をすべて満たした場合に対象となります。

ただし、法人の特定適格組織再編成等の日の属する事務年度開始日の5年前の日と、法人の設立日または支配関係法人の設立日のうち、最も遠い日から継続して支配関係がある場合を除きます。

<特定資産譲渡等損失の損金算入制限の要件>
● 適格組織再編成等に該当(みなし共同事業を満たす場合を除く)
● 特定資産譲渡等損失が、組織再編事業年度開始日から次のいずれ早い日までに生じたものである
 ・組織再編事業年度開始日から3年を経過する日
 ・支配関係発生日から5年を経過する日
● 支配関係発生事業年度の開始日における価額(時価)が簿価を下回っている

上記のすべてに該当した場合、損金算入が制限されますが、譲渡時期をずらすことで損金不算入額を調整することは可能です。

損金不算入の対象となる「特定資産譲渡等損失額」

特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象となる特定資産譲渡等損失額は、「特定引継資産に係る譲渡等損失額」と「特定保有資産に係る譲渡等損失額」の合計をいいます。

特定引継資産に係る譲渡等損失額の計算方法

「特定引継資産に係る譲渡等損失額」は、特定引継資産の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の事由により生じた損失の合計額から、特定引継資産の譲渡や評価替え等の事由により生じた利益の合計額を控除した額をいいます。

「特定引継資産」とは、その法人が支配関係法人から特定適格組織再編成等により移転を受けた資産のうち、下記の資産(除外資産)を除いたものをいい、支配関係法人が支配関係発生日の属する事業年度開始日前から有していたものです。

<除外資産>
・土地または土地の上に存する権利以外の棚卸資産
・短期売買商品等
・売買目的有価証券
・特定適格組織再編成等の日において帳簿価額が1,000万円未満の資産
・支配関係発生日の属する事業年度開始日における価額が帳簿価額を下回っていない資産
(申告書への明細添付・書類の保存等の要件有)
・完全支配関係内の非適格合併により移転を受けた資産のうち、譲渡損益調整資産以外の資産
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