契約書のひな形、内容証明郵便書式、労務書式、
会社法議事録・通知書のテンプレートが無料

法人税の外国税額控除の概要と対象になる外国法人税の範囲

内国法人は、国内だけでなく国外で発生した所得も原則課税対象ですが、外国において外国法人税を支払っている場合には、外国税額控除を適用することができます。

本記事では、法人税の外国税額控除の適用要件および、控除対象となる外国法人税の範囲について解説します。

【この記事の監修者】
讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰

外国税額控除制度の概要

国外で得た所得は日本だけでなく外国でも課税対象になるため、国内法人であっても外国で税金を支払うケースがあります。

外国税額控除は二重課税を排除するために設けられている措置で、外国で納付した外国税額の種類や金額に応じて税額から控除することができます。

日本の法人税では二重課税を排除する手段として、外国税額控除方式と外国税額損金算入方式の2種類あり、法人はいずれかの方式を選択して適用することになります。

法人税の外国税額控除の計算式

法人税の外国税額控除は、控除限度額の範囲で控除することが認められており、控除限度額の計算式は下記の通りです。

控除限度額を超える部分は差し引くことができないため、外国で支払った税額を全額控除できるとは限りません。

<外国税額控除の計算式>
事業年度の所得に対する法人税額×(事業年度の調整国外所得金額÷事業年度の全世界所得金額)=控除限度額

外国税額控除の対象になる外国法人税の範囲

法人税で外国税額控除の対象となる「控除対象外国法人税」は、法人税だけでなく法人税に相当するものも含まれます。

下記の税金が外国または外国の地方公共団体で課されている場合、その金額は控除対象外国法人税に該当します。

<外国法人税に該当するもの>
・超過利潤税、その他法人の所得の特定の部分を課税標準として課される税
・法人の所得または、その特定の部分を課税標準として課される税の附加税
・法人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で、法人の特定の所得につき、徴税上の便宜のため所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの
・法人の特定の所得につき、所得を課税標準とする税に代え、法人の収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課される税

一方、外国または外国の地方公共団体で課される税金であっても、下記に該当する税金については外国法人税には含まれません。

<外国法人税に該当しないもの>
・税を納付する者が当該税の納付後、任意にその金額の全部または一部の還付を請求することができる税
・税の納付が猶予される期間を、その税の納付をすることとなる者が任意に定めることができる税
・複数の税率の中から税を納付することとなる者と、外国もしくはその地方公共団体またはこれらの者により、税率の合意をする権限を付与された者との合意により税率が決定された税
(当該複数の税率のうち最も低い税率(当該最も低い税率が当該合意がないものとした場合に適用されるべき税率を上回る場合には当該適用されるべき税率)を上回る部分に限る)
・外国法人税に附帯して課される附帯税に相当する税、その他これに類する税

外国税額控除の繰越制度

控除対象となる外国税額控除の額よりも控除限度額の方が大きい場合、差額は控除余裕額として翌期以降3年間繰り越すことが認められています。

反対に、控除対象外国税額控除の額が控除限度額よりも小さい場合については、差額を控除限度超過額として翌期以降3年間繰り越すことができます。

控除対象外国法人税の額と控除限度額は、基本的に一致することはないため、外国税額控除を適用する際は控除余裕額または控除限度超過額のいずれかが発生します。

したがって、法人税の税額計算を行う際は、外国税額控除の繰越制度も忘れずに確認してください。

経営に役立つ無料セミナー・無料資料請求
PREVNEXT